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FDAが医薬品審査費用の全額をユーザーフィーで全額まかなうというトランプ大統領の提案に企業から反対の声、しかし実施は避けられない見通し

2018-04-16

キーワード:利益相反、ユーザーフィー、公共政策

 米国の医薬品審査費用は、PDUFA(処方箋薬ユーザーフィー法)によって、毎年設定される負担率に従って使用者から費用徴収することが認められている。現在の費用負担割合は72%だが、トランプ政権が医薬品審査費用の全額をユーザーフィーで賄うべきであると提案し、製薬企業幹部らは利益相反が懸念されるとしてこれに反対しているとの記事をピンクシート誌2017年11月20日号が掲載している。以下にその要旨を紹介する。
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 トランプ大統領は2018年の予算要求で医薬品審査の費用を完全にまかなえるよう、ユーザーフィーを倍増することを提案した。今年のユーザーフィー再認証での実施はないが、今後の予算要求で再提案される。これに対しいくつかの製薬企業幹部から、利益相反の関係から公共政策としてまずいのではという反対の声があがっている。しかし、トランプ政権が市販前の審査費用は企業が全額払うべきだという提案をひっこめる気配はない。
癌研究の前向きな政策と友人たちバイオファーマ議会開催中(11月14日)でのこと、アムジェン社副社長で世界的規制および安全性担当のGalson氏はトランプ内閣の考えについて質問されて「バッドアイデアだ」と評した。前FDA医薬品評価リサーチセンター長でもある彼は、現在の費用負担モデルは、FDAのなかでは最高のバランスを達成しているといい、他のパネリストらもこれに賛同した。メルク社副社長で世界的規制担当・臨床安全担当のMilligan氏は、お金の問題ではなくバランスの問題だという。企業が全額を賄うことは、利益相反をあおるだけだ。企業が100%資金を出す意味は、ただ世論をかわす避雷針としてだと。

 一方、健康プログラム管理予算局長のGrogan氏の見解はこうだ。「次のPDUFA再認証の2022年までには何かが起こるだろう。トランプ大統領は財政的必要性からの目標を示しているのであり、財政が底をついているなかで企業による市販前調査完遂の議論は避けられない。最終的に企業は全額を支払うことになるだろう。現在72%だが今後4年半の間には今よりも確実に上がる。審査過程を支える納税者のレベル、FDAを支える企業のサポートレベルについて語る必要があるのだ。」
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 FDAの処方箋薬ユーザーフィー法(PDUFA)は1992年に導入された医薬品審査費用を申請者手数料として徴収し審査費用にあてることをFDAに認めた法律で、これによりFDAは審査体制を強化し、審査の迅速化を図ってきている。PDUFA施行以後、FDAの審査は安全性よりも承認することが重視されるようになったとの指摘もある。製薬企業側が「利益相反をあおる」という理由で反対するのは滑稽な気もするが、100%製薬企業の資金で賄うということになればFDAの医薬品審査に製薬企業の影響力がさらに強まり、ますます安全性よりも承認を重視することなりかねないことは明白だ。FDAが果たすべき安全性監視の観点から、どこが支出するべきかを考える必要があるだろう。審査費用を100%企業負担にした場合、安全性監視の機能が弱まるうえに、その費用がいずれ薬の価格に反映し医療費増加に直結するということも視野にいれる必要があろう。(N)