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FDA安全法が提起するCPDERは、ユーザーフィーでなく政府支出金で運営

2005-06-28

FDA安全法が提起するCPDERは、ユーザーフィーでなく政府支出金で運営
 (FDA安全法2005、CPDER(市販後医薬品評価研究センター)、政府支出金での運営)

 米国FDAに医薬品安全性の独立部局を新設する「FDA安全法2005」が、米議会に提出された(※1、※2)。その後、別の「FDA改革法2005」も米議会に提出されている(※)。FDCレポート"ピンクシート"誌(2005年5月16日付)は、「医薬品安全法は企業への罰金を是認するが、ユーザーフィーを含まない」というタイトルの記事の中で、市販後医薬品評価研究センター(CPDER)はユーザーフィーではなく、政府資金で運営されるであろうことを説明し、その後判明した「FDA安全法2005」とユーザー・フィーとの関係などについても記載している。先月の注目情報と重複する部分もあるが、現在の時点での全体の把握にわかりやすいので概略を紹介する。

   新たなセンターに必要な資金として、新法は2006年度の5000万ドルに
   始まり、2010年度には1億5000万ドルに増加する、5年間に5億ドルの政
   府支出金を是認することになろう。

   5月17日の上院FDA局長就任に関するコンフォメーション公聴会で、ク
   ローフォード局長代理はこの法案に中立的な態度をとっているが、現
   在の処方せん薬ユーザーフィー制度は2007年に期限が切れるので、医
   薬品安全のために用いるユーザーフィー目的税はユーザーフィー法改
   訂の議論の一部分になることを示唆した。

   ユーザーフィー・プログラムは、FDAと製薬企業との関係をあまりに密
   着していることが批判されている。下院に提出された別の法案は、現
   在あるユーザーフィー制度を取り壊すことを意図したものである。ヒ
   ンキー議員(民主党)の提案したFDA改革法2005(HR2090)は、ユーザーフ
   ィーの支払いによって生まれた製薬企業とFDAとの関係を厳しくするこ
   とによって、FDAの独立性を増すことを狙っている。この新しい法案で
   は、FDAが規制する製薬企業から直接に資金(ユーザーフィー)を集め
   るのでなく、財務省に納入されることになっている。

   ヒンキー氏の法案は、グラスリー氏/ドッド氏のCPDER(市販後医薬品評
   価研究センター)と同じように、独立した市販後医薬品の安全性有効性
   センターの設立を提起している。また、FDA諮問委員会委員の利害の衝
   突に関する規定を厳しくするとともに、連邦製造物責任(PL)法に基づく
   訴訟でFDAがこれまで、承認した製品のメーカーに対しては被害者は訴訟
   を提起できないと主張して介入していたのを禁じている。また、この法
   案は、処方せん薬のオフラベル(適応外)使用の減少を目指している。法
   案は、オフラベル使用を販売促進目的に用いることに対し断固とした取
   り締まりを求め、医師が患者に対し承認された適応以外に対し処方する
   際には、説明し、同意を得ることを求めている。

   グラスリー氏/ドッド氏の法案はまた、民事上の罰金を含んでいる。
   CPDER(市販後医薬品評価研究センター)は、会社が市販後試験を期日内に
   終えなかったり、処方の"修正行動"に従わなかった時には、罰金を課す
   権限を有している。この民事上の罰金は、最初の30日間は25万ドルだが、
   会社が遵守しなければ30日ごとに2倍、2倍になり、最高30日間に200万ド
   ルまで増え続ける。

   この罰金は一見製薬企業の反対を呼びそうだが、米国製薬協CEOのビリー
   ・タウジン氏は、この安全規制の強化を是認すると語っている。タウジ
   ン氏は、5月2日の報道関係者に対する状況説明で、「われわれは、FDA内
   部に、承認過程に関与しなかった人々による独立した委員会ができること
   を強く支持する。・・・FDAが強力になり、安全監視体制が強化されるこ
   とは、製薬企業の利益にかなうことである」と語っている。
                                (T)