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伊当局が企業からの資金を安全性監視などに活用

2005-06-28

伊当局が企業からの資金を安全性監視などに活用
  (キーワード: イタリア、企業から集めた資金、安全性監視、企業から独立した医薬  品情報、未承認薬使用、オーファンドラッグ使用)

 米国では、処方せん薬ユーザー・フィー法(新薬の審査費用を製薬企業が負担する法律)が導入されたことにより、製薬企業からの資金が直接FDA(医薬品食品局)に入るようになったため、製薬企業と規制当局との間に癒着が生じることが問題となっている。
 スクリップ誌(2005年5月27日付)の情報によれば、イタリアでは製薬企業が医薬品の販売促進に支出した費用の5%相当額を国庫に納入させる制度があり、2003年以来、当局に納められた額は9400万ユーロ以上となっている。同国では、このようにして納入された資金は、安全性監視の強化、企業からの影響を受けない独立した医薬品情報の提供、重篤な疾患に対する未承認薬の提供、稀少疾患に対する医薬品使用の基金、国民保健サービスに重要な医薬品を企業からの援助を受けずに研究・開発することなどに用いられることになっている。以下は記事の概略である。

   当局に集まった資金の半分は、企業から独立した研究の促進、地方庁
   と協同しての医薬品監視プログラムの遂行、医療従事者と市民の両方
   に医薬品情報を提供する企業から独立した医薬品情報センターを当局
   に設立することなどに用いられる。資金はまた、医薬品適正使用を推
   進するためのコミュニケーションキャンペーン活動、薬務当局の人材
   の育成のためにも用いられる。

   残りの半分の資金は、国家基金に納入され、稀少疾患のためのオーフ
   ァンドラッグの使用、効果は期待されているがまだ承認が得られてい
   ない重篤疾患に対する医薬品使用への補助などにも用いられる。

   5月19日のAIFA(イタリアの医薬品規制当局)委員会ではまた、専門家セ
   ンターにおける稀少疾患の診断と治療を財政的に支援する、国の基金
   からの支出のための手続きが承認された。基金からの交付金の申請は、
   詳細な診断と治療の計画とともに、地方庁経由で当局に提出されるこ
   とになっている。要望は、どのような資金的援助が適当かをAIFAの科
   学・技術委員会で評価し、最終決定はAIFAの委員会が行う。

   AIFAは、国民保健サービスに重要と考えられる医薬品に関する研究を
   企業の影響を受けずに促進し、財政的に支援するために、新たな研究
   開発委員会を先月発足させた。委員会は10名のメンバーからなり、マ
   リオ・ネグリ研究所のシルビオ・ガラティーニ薬理学教授を委員長と
   している。当局は、事業の決定、データの取り扱い、結果の公表は、
   情報公開され企業から独立したものであると述べている。審議にあた
   っては、特にどの薬や治療戦略が既存の治療を上回る付加価値を提供
   できるかを証明することに焦点が当てられる。研究プロジェクトに対
   する委員会の提案は、7月末には終了すると予想されている。
                             (T)

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