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米国NIH(国立衛生研究所)のイレッサ比較臨床試験、延命効果みられず中止

2005-05-31

米国NIH(国立衛生研究所)のイレッサ比較臨床試験、延命効果みられず中止
(キーワード:イレッサ(ゲフィチニブ)、米国NIHの比較臨床試験、延命効果なく中止)

 昨年末に延命効果がみられないことが明らかになったISEL試験とはまた別の、米国NIH(国立衛生研究所)が米国内で行っていたイレッサのプラセボを対照とする進行性小細胞性肺がんでの比較臨床試験が、中間解析で生存期間延長効果が見られず、試験を継続しても延命効果が得られる見通しがないことから中止になりました(※1)。

 イレッサが、生存期間延長効果がないという比較試験結果は、INTACT-1、INTACT-2、ISELの各比較臨床試験に次いでこれで4試験目です。

 この試験は、手術不能の進行性小細胞性肺がん患者で、化学療法と放射線療法が行われた患者の維持療法で、イレッサとプラセボを比較する試験です。試験名はS0023、スポンサーはNIHで、サウスイースト・オンコロジー・グループ(SWOG)などが取り組み、プライマリー・エンドポイント(主要な効果をみる尺度)は生存期間の改善です。対象患者は、ステージ(段階)3の手術不能小細胞性肺がん患者で、放射線療法とともに、シスプラチンとエトポシドの併用を行い次いでドセタキセルを投与した患者です。672症例の患者を、イレッサの毎日服用とプラセボの毎日服用の2群にランダムに割付けます。2005年3月10日の時点で、611症例が登録され、276症例が2群に割付られました。中間解析で延命効果が見られず、中止されることになりました。この試験結果は、5月14日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO、アスコ)年会で発表されました。

 この学会発表を受けて厚生労働省は、5月16日に次の見解を発表しました(※2)。

   厚生労働省としての対応

   肺がん治療の専門家によると、SWOGによる試験のようなゲフィチニブの投与
   は、我が国の通常の肺がん治療としては行われていない。試験の詳細につい
   ては今のところ発表されていないが、念のため、製薬企業に対しては今回の
   研究発表について医療関係者に情報提供するよう指導するとともに、日本肺
   癌学会に対しては「ゲフィチニブ使用に関するガイドライン」改訂の必要性
   について検討を依頼することとしている。
                              (T)