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米国FDAが抗うつ剤の添付文書に「黒枠警告」を指示

2004-11-26

米国FDAが抗うつ剤の添付文書に「黒枠警告」を指示

 (キーワード:FDA、抗うつ剤、黒枠警告、自殺リスク)

  米国FDA(食品医薬品局)が2004年10月15日、全抗うつ剤の添付文書に「黒枠警告」で
 小児および思春期患者での自殺傾向のリスクについて警告するよう、製薬企業に指示
 しました(※1)。以下はFDAの新聞発表からの要約です。

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  FDAは、小児および思春期患者での抗うつ剤による自殺傾向の
リスクについて「黒枠警告」で医師などに警告を出すとともに、
薬物治療を開始する際には、患者を綿密にモニタリングする必
要性について強調するよう、製薬企業に指示した。

   FDAはまた、薬物治療を受ける患者にリスクの存在を知らせ、
  注意を助言する「患者薬物治療ガイド」(メドガイド、
  MedGuide)の使用が妥当であるとして、その準備にはいることを
  決定した。

  「今回の決定は、自殺企図のリスク増加についてのFDAの結論と、
  これらの抗うつ剤を処方する医師とそれらを服用する小児およ
び思春期患者に対する必要な行動をあらわしたものである」と、
  FDA局長代理のクロゥフォード医師は語った。

   FDAは、すべての抗うつ剤の添付文書に「黒枠警告」で、抗うつ
  剤を投与された小児および思春期患者で自殺企図のリスクが増加
  することを記載し、またこれらの患者でどの適応が承認されてお
  り、どの適応が承認されていないかを記載するよう、製薬企業に
  指示した。

   今回の決定は、5つのSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害
  薬、抗うつ剤の一種)と 4つの非定型抗うつ剤の研究を分析し、
  なされたものである。これらの研究において、実際に自殺が完
  遂されたという報告はない。

  「黒枠警告」は、処方せん薬の添付文書記載の中では最も重い
  警告である。「黒枠警告」をされた医薬品については、医療専
  門家に製品の有用性を喚起するのに役立つ広告(いわゆる
  reminder ads)は許されない。現在まで、「黒枠警告」つきで小
  児への使用が承認された製品は10品目にすぎない。新たな警告
  は小児及び思春期患者での抗うつ剤の使用を禁止するものでは
  ない。自殺のリスクについて警告することで、処方者たちにリ
  スクと臨床的な必要性とを天秤にかけるよう促している。

   FDAの戦略の第2の要素は、FDAが承認した患者のための情報
  「患者薬物治療ガイド」( メドガイド)である。メドガイドは、
  新たな処方せんが出されるごとに、またレフィル(薬によっては、
  医師が再度処方せんを発行しなくても、同じ内容を再度調剤して
  もらえる仕組みになっている)の度ごとに、薬剤師から患者に配
  布されるよう予定されている。FDAは、メドガイドができる限り
  早く用いられるよう、抗うつ剤メーカーに働きかけようとしてい
  る。

   さらにFDAは、処方せんの発行またはレフィルごとに、患者が
メドガイドを受け取ることを確実にするための手段として、す
  べての抗うつ剤に対し「使用単位」の包装(1コース分を小包装)
  を実行するよう、メーカーに働きかけている。
                           (T)

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