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医薬品は承認前にきちんと評価しなければならない

2018-07-23

(キーワード:市販後臨床試験、医薬品安全性監視、条件付き早期承認制度)

 市販後臨床試験に対する批判は当会議の注目情報でたびたびとりあげている(※1、※2、※3)。 プレスクリール誌は2018年1月1日、ウエブサイトのスポットライト(※4)で、医薬品を承認前にきちんと評価せず、評価を承認後に持ち越す傾向がますますひどくなっているが、市販後の評価はきちんと行われておらず、患者を危険にさらしていると批判している。例としてあげているのが、ドイツの市販後臨床試験は患者のために機能していない(BMJ電子版 2017年1月5日)※5である。
 以下はBMJ電子版の概要である。
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 ドイツでは医薬品の安全性監視は市販後研究(post-authorisation studies)に依存している。しかし、われわれが調査した範囲では市販後研究は安全性監視の主な手段となっていない。2008から2010年の間に、558件の市販後研究が登録された。これらの研究は承認前には検出されなかった有害事象を特定できると通常考えられている。しかしこれらの研究の説明文書の多くは非常に曖昧であり、72%は研究プロトコールを特定できなかった。1研究あたりの患者数は600人(中央値)で、参加医師数は63人(中央値)だった。患者1人あたりの医師への報酬は200ユーロ(中央値)、558研究に対する3年間の総報酬は2億1700万ユーロであった。1研究当たりの参加医師への報酬は2000ユーロ(中央値)であった。これらは広範囲の医薬品と関連製品についてのもので、最近承認された医薬品についてのものは3分の1だった。これらの研究では、医師の報酬は他の医薬品研究と比較し平均2倍高かった。

 多くの届出書、データ、情報、結果は契約によって厳密に非公開で、それらはスポンサーの固有財産とされた。市販後の558研究のいずれからも、有害事象は報告されていなかった。科学ジャーナルに掲載されたのはわずか5件で研究の1%以下であった。ドイツにおいて市販後研究は医薬品の安全性監視に役立っていない。研究対象の患者数はまれな有害事象を検出するには通常あまりに小さく、参加した医師たちの多くは、スポンサーに対する機密保持を厳格に義務づけられている。これらの研究における高い報酬と厳格な機密保持条項は、医師の報告に影響をおよぼす可能性がある。市販後研究は有害事象の報告不足をむしろ悪化させる可能性が高い。
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 ドイツは法律で市販後臨床試験の登録と報告が義務づけられており、著者達は規制機関に対して2件の訴訟を起こし情報公開させている。登録義務のないイタリア、フランス、スペイン、オーストリアなど多くのEU諸国で市販後研究が行われているが、ドイツのデータはEU全体の市販後研究の代表であると信じるべき十分な理由があるとしている。さらに、低所得国での市販後研究は「偽装したマーケティング」であり、科学的なものではなく商業的な目的で行われる研究であり、倫理的にも問題があると著者らは批判している。市販後臨床試験の本来の目的は承認前に確認できなかった有効性や安全性の確認である。しかし、企業資金で行われる多くの市販後研究がマーケティングを目的としているのではないかとの疑念を抱かざるを得ない。この実態は日本でも同様に当てはまるのではないか。 G.M