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英国の医師は利益相反管理のため国民保健サービス(NHS)に所得申告が必要になる

2017-03-16

(キーワード:利益相反、英国国民保険サービス、NHS)
 
 英国では、税方式による「National Health Service(NHS)」制度のもと、国民に対して疾病予防やリハビリテーションを含めた包括的な保健医療サービスが提供されている。ほぼ税金から医療費が支払われるため、国としての利益相反管理が強く求められる。以下は、2016年9月19日にNHSが傘下の医療従事者に対しての利益相反管理を強化する提案を行ったことを伝えるBMJ電子版(2016年9月20日)の要約である。
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 英国国民保険サービス(NHS)は利益相反管理の強化のために医師などに個人収入の申告を求める。医療従事者は個人収入が5万ポンド以下、5万ポンド〜10万ポンド、10万ポンド以上であるかの申告が要求される。また、その情報は雇用者の登録簿に記録される。NHSのもとで医療行為を行う医療従事者は患者と自由診療の話をすべきではなく、民間保険などからの報酬を受けとるべきではない。医師には全ての患者や外国の高官からの50ポンド以上の報酬を辞退し、6ポンド未満の後発薬販促援助を除き、医療関連供給事業者からの報酬を辞退することが要求される。NHSスタッフは製薬企業や関連産業から25ポンド以上の歓待を受けた場合は申告が必要である。

 この提案を主導したNHSグラント理事長は、「税収から運営される1100億ポンドの医療経費は不当な影響から公正なものでなけえばならない。この提案は医師のコンサルタントによる自由診療を抑制するのが目的ではなく、透明性を求めているにすぎない。」と述べた。また、マルクス英国外科医師会会長は、「NHSの潜在的な利益相反を管理する明確なガイドラインが長期間更新されていなかった。患者は医療従事者へ非常に大きな信頼を持っていて、このガイドラインは、医師が彼らの潜在的な利益相反について考えることを手助けし、いつも適切に管理できる手助けになるだろう。」と述べた。

 自由診療したい医師は最初にそのための時間をNHSに申し出ねばならない。
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 NHSは公費負担医療として位置づけられ、利用者の健康リスクや経済的な支払い能力にかかわらず、臨床的必要性に応じて利用可能であり、自己負担は殆ど少ないか無料である。また、外国人も合法的にイギリスに滞在していると認定を受けられれば、NHSのサービスを利用することができる。NHS制度のもとで使用される医薬品は英国国立医療技術評価機構(NICE)で費用対効果も含め評価される。利益相反管理も含め英国の医療制度からは学ぶべきことが多い。(G.M.)

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