注目情報

  1. ホーム
  2. 注目情報

デンマークにおけるHPVワクチン接種後害反応(ADR)報告

2015-11-17

 HPVワクチン(いわゆる子宮頸がん予防ワクチン)の副作用が問題になっているのは世界で日本だけであるという言説があるが、それが間違いであることはデンマークの医薬品当局が定期的に発表しているリポートDANISH PHARMACOVIGILANCE UPDATE(※1)を見れば明らかである。

 2015年9月に発行された最新版には2015年6月末までに報告されたHPVワクチン接種後の害反応(ADR)の詳細が公表されている。それによると2015年4月〜6月の3ヶ月間(第2四半期)に報告された害反応は308件、うち重篤なものは158件に上っている。

 2009年以降の重篤な害反応の報告数の合計は543件となり、ワクチン出荷本数100万本あたりの発生数は329と日本を上回る報告頻度である。リポートの概略を以下に紹介する。
-----------------------------------
 2015年第2四半期には、デンマーク健康医療当局は308件のHPVワクチン接種後
の害反応(ADR)報告を受け取った。そのうち158件が重篤、150件が非重篤と分類された。

 重篤に分類された158件の害反応について、因果関係を評価した結果次のように分類された。

・6件が、因果関係がありうる(possible)と分類された。
   うち3人がPOTS(体位性頻脈症候群)を発症。2人が特発性血小板減少紫斑病。
   1人が接種後まもなく脊髄の脱髄を起こした。この症例では接種と時期的一致があった上、他に説明可能な原因もなかった。

・72件が、証拠不足(insufficient documentation)と分類された。
   接種時期と症状発生の時期は一致しているが、これまでの論文等には記載がない害反応であるため、証拠不足と評価された。ほとんどは長期にわたる疲労、頭痛、めまい、原因不明のあちこちの痛みといった症状である。

・47件が、関連性は低い(less likely)と分類された
   例えば症状が接種前からあったり、あるいはほかの疾患の方が説明が良くつく等

・33件が、分類不能(unclassifiable)とされた
   例えば情報が非常に乏しい、あるいは接種と発症の時間差を示す資料がない等

 デンマーク医薬品当局が2009年以降2015年6月30日までの6年半に受け取ったHPVワクチン接種後の害反応報告数は合計1586件であり、うち重篤と分類された件数は543件であった。この間のワクチン販売数(のべ接種者数)の合計は165万1152本となっている。
-----------------------------------
 デンマークでは2013年ごろからHPVワクチン接種後の少女たちに起きているCPRS(複合性局所疼痛症候群)、POTS(体位性頻脈症候群)、記憶障害等の特異な症状についてマスメディアが伝え始め、彼女たちを診察した医療者の中に安全性に対する強い疑問の声が上がるようになった。

 こうした状況を受けて2014年以降、ワクチン販売本数が急減する一方で、接種後の重篤な害反応の報告数は急増している。これについてデンマーク医薬品当局は「ある薬の副作用がよく知られるようになると副作用報告が多くなることはよく知られた現象である」としていわゆる”掘り起し効果“によるものとみている。

 しかし重篤な害反応の総数はすでに534件に上り、発生頻度はワクチン販売本数100万本当たり329と、日本の重篤な副反応発生頻度、ワクチン出荷本数100万本あたり135に比べても倍以上の頻度である。デンマークのワクチン接種後の副反応報告制度が充実しているために頻度が高くなっているとも考えられる。2015年第2四半期の報告の中で、証拠不足に分類されている72症例は、日本の少女たちにも多く見られる症状である。いずれにしてもHPVワクチンの安全性をめぐる問題が、決して日本だけの問題ではないことがわかるリポートである。(K.K.)