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カナダ保健省がアルツハイマー病治療薬への警告を発出した

2015-11-17

(キーワード;アルツハイマー病治療薬、重篤な害作用、警告)

 パブリックシティズンはニューズレター2015年6月号で、カナダ保健省が発出した2つのアルツハイマー病治療薬ドネペジル(国内販売名、アリセプトなど)とガランタミン(国内販売名:レミニール)のまれだが重篤な副作用に関しての警告についてとりあげた。以下はその要約である。
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 ドネペジルは有用性が乏しいことから、ガランタミンは効果が小さく胃腸と心血管の副作用のために、これまでにパブリックシティズンは「使うな」リストに上げていたものだ。FDAは同様な警告をまだ行っていない。

 ドネペジルの警告は横紋筋融解症と悪性症候群である。横紋筋融解症で、スタチンや抗精神病薬、ある種の抗うつ薬(SSRI、SNRI)の併用でリスクが増大する。もう1つは悪性症候群である。ヘルスカナダは、国内外で88例の横紋筋融解(死亡3例)と67例の悪性症候群(死亡9例)を見つけ、先発企業に報告した。

 ガランタミンの警告は、水疱や表皮剥離を伴う重症発疹、体幹に広がる小膿疱瘤性紅疹、標的様水疱疹などを含む皮膚反応だ。最も危険なのはスティーブンジョンソン症候群として知られる表皮剝脱性の疱疹である。

 パブリックシティズンは患者らに対し、これらのどちらかを服用していたら、医療提供者にこれらを中止するようもちかけよう、相談なしにやめてはいけない、と助言し、そしてもし、なんらかの兆候に気づいたら、すぐに薬の注意事項を探し、そして必ずFDAのMedwatch 有害作用報告システムに報告するようにと呼びかけている。
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 両剤とも進行性の疾患であるアルツハイマー型認知症の進行抑制を目的に使用される。長い間アリセプトが独占的に使われてきた。発売当初は軽度〜中等度認知症を適応としそれ以上進行した場合には中止の措置が取られていたが、10mg錠が発売され高度アルツハイマー型認知症にも使用できるようになった。ジェネリックの発売後も国内売上は650億円(2013年度)と発表されている。「進行予防」という効能ほどわかりにくいものはない。効いているかどうかわからず一生使い続ける(可能性のある)ことになりかねない。これらの副作用は添付文書に記載されてはいるが、警告とはなっていない。早期対処が必要なこれらの副作用の兆候と対処する方法を、家族に知らせることはもちろんだが、効果判定の基準を明確にし安易な長期処方にならないような措置が必要だろう。(N)

http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=433