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FDAの迅速承認製品の添付文書記載ガイダンス案が「混乱」を生じている

2014-07-23

(キーワード: FDA、迅速承認製品の添付文書、記載ガイダンス案、製薬協の対応)

 米国食品医薬品庁(FDA)は、2014年3月、「迅速承認制度のもとで販売承認された処方せん医薬品・生物製剤のラベリング」と題する製薬企業向けのガイダンス案を発表した(※1)。ラベリングとは医薬品の適正使用のための主要情報を意味し、日本の医薬品添付文書に相当する。
 その内容は、迅速承認制度のもとで販売承認された医薬品は、有効性・安全性が確立されて承認されたものでない(それらは市販後の試験に委ねられている)ことを添付文書に記載して情報伝達するもので、当然の理に適ったものと思われるのだが、スクリップ誌2014年6月13日号は、業界団体である米国製薬協が「混乱」をもたらすとして、これに反対していることを伝えているので要旨を紹介する。

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 米国製薬協が、2014年3月24日に出されたFDAの迅速承認製品の添付文書記載ガイダンス案に、異議を唱えている。医療従事者と患者・市民に混乱をもたらし、迅速承認の意図とそれを広範に推進する議会の努力に反するというのである。迅速承認制度は重篤で命を脅かす疾患の治療剤を少しでも早く患者のもとに届けるため、患者利益につながる代替エンドポイントの結果で販売承認するというFDAによる試みである。

 FDAは代替エンドポイントで迅速承認された製品の添付文書の「適応と使用」(Indications and Usage)欄に、「臨床試験」欄を参照して、薬剤の有用性や得られる利益の確かさにまだ一定の限界があることを簡潔に記載するよう求めている。しかし、製薬協は「適応と使用」へのそうした記載は迅速承認された薬剤が、FDAが承認しているすべての薬剤に要求している安全性・有効性についての法的な要求事項を満たしていないと誤解され、迅速承認の意図を掘り崩し、その広範な使用を促進する最近の議会の努力に反するとして、記載の除去を求めている。

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 無理が通れば道理が引っ込むの製薬協の主張であるが、FDAがこれにどのように対応するかが注目される。
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