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あまりにも過剰な診断・治療・医薬品使用

2014-01-09

[キーワード:過剰医療、過剰診断、医薬品]

 時代を経て医学は進歩し、多くの医薬品が開発され、また衛生環境や栄養状態が改善し、人類の寿命は飛躍的に延びてきた。

 しかしながら今日、少なくとも富める国においては、利用可能な医療技術の豊富なことが健康改善に必ずしも寄与しないという事態が発生している。

 プレスクリール・インターナショナル2013年11月号では、「Too much medicine」と題して、フランスにおける不適切な過剰医療に関する2つの調査結果を紹介している。

 また、英国医師会雑誌(BMJ誌)による “過剰な医薬品Too much medicine”キャンペーンや米国医師会雑誌内科版(JAMA Internal Medicine)での“少ないほどよいLess is More”シリーズも同時に紹介し、過剰診断や治療、また過剰な医薬品使用の問題に警鐘を鳴らしている。

 以下、プレスクリール・インターナショナル記事の概要である。(※1)
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<不適切な医療介入が多すぎる>
 フランス病院連盟が医師803人(病院勤務医402人、開業専門医201人、開業一般医200人)を対象に2012年に行った調査によると、医師たちは、現在行われている検査や治療のうち適切と判断できるものは72%にすぎないと考えていることが報告されている。

 また不必要な検査や治療をなぜ行うのか、との問いに対しては、その主な理由は、患者の希望に応じた結果(85%)、裁判対策(58%)、臨床経験の不足(39%)などであり、経済的インセンティブ(20%)もあるとしている。

 同じく2012年にフランスで実施された一般市民1,006人対象の調査では、75%の人が診察を受けた理由に「医学的アドバイスを受けるため」を挙げているものの、「薬をもらうため」と答えた人も62%いたとされている。

<有害な医療介入が多すぎる>
 英国医師会雑誌(BMJ誌)は2013年2月25日〜3月3日の週に“過剰な医薬品Too much medicine”キャンペーン(http://www.bmj.com/too-much-medicine)を行い、「医療介入による害を減らすためには、医薬品の過剰使用への対処が必要」として、過剰診断と過剰な治療、およびそれらに伴う社会資源の浪費を問題提起している。

 また、米国医師会雑誌(内科版)(JAMA Internal Medicine)では2010年5月から“少ないほどよいLess is More”のコーナーが設けられており、過剰診断や治療に関連する論説、原著論文などが掲載されている。

<まとめ>
 新たな診断技術や治療法の開発とともに、不適切かつ有害な医療介入が今日、明らかに増加している。

 医療職者は、現存する診断法や治療法の適切な使用方法とともに、適切に使用しない方法も知る必要がある。そして患者もまた然りである。(Y)

関連資料・リンク等
※1 Prescrire International 2013; 22(143): 278.

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