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PPA安全対策遅延で韓国食品医薬品局長(KFDAチーフ)が引責辞任

2004-08-26

(キーワード: PPA、安全対策、韓国、KFDA、局長の引責辞任)

 2000年11月、米国FDAはPPA(塩酸フェニルプロパノールアミン)と脳出血との関係の疫学的検討結果から、製薬企業に対しPPAを含有する医薬品の米国内における自発的な販売中止を要望するとともに、PPAを含有する医薬品を市場から除去するのに必要な処置を開始しました(※1)。
  
 日本では、これに関し2000年11月、「使用上の注意」の若干の改訂をした以外何もせず、2002年7月になって一般薬承認基準からPPAを削除したものの、PPAを含有する既承認品に対しては何ら措置をとりませんでした。その後、2003年9月、相次いで脳出血症例が厚労省に報告されたのを受け、やっと他成分(ただし、同じ交感神経に作用するエフェドリン関連成分で問題はありますが)への速やかな切り替えを製薬企業に指示しました。
 
 e-drug(エッセンシャルドラッグ、必須薬)のサイトが、2004年8月13日に伝える隣の国韓国の注目されるニュースです(※2)。情報源は「韓国ニュースメディア2004年8月」と書かれています。以下は全訳を試みたものです。

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  [韓国でのPPA禁止と食品医薬品局長辞任]
  
韓国厚生省は最近、食品医薬品局(KFDA)がPPAを含有するかぜ薬
とせき薬を禁止する措置をとることを、ようやく決めた。

「この事例を処置する食品医薬品局官僚の義務の怠慢といい加
減な態度が、国民の健康を重大な危険にさらした」と厚生省は
報告書のなかで述べている。「KFDAは、問題の重大性を認識せ
ず、事情を厚生省に報告せず、関連部局にも相談しなかった」。
出血性脳卒中に関係するPPAを含有するかぜ薬のKFDAによる
取り扱いについての、厚生省による1週間にわたる監査の結果を
記載した報告書は、KFDAが国民の健康を守る義務を果たさず、
重大な誤りを犯したことを示している。

2004年8月1日に、KFDAは75の製薬会社が製造する約190品目の
PPAを含有する処方薬、OTC薬の生産を禁止した。

8月9日に、KFDAのShim Chang-koo局長が、PPAを含有する医薬
品の禁止の遅れをめぐるスキャンダルの責任をとって辞任した。
Shim局長は、ソウルの彼の事務所での記者会見で、「私はスキャ
ンダルの責任をとって辞職願を提出することを決めた」と語っ
た。

Shim局長の辞任は、KFDAとその医薬品安全性モニタリングシス
テムの大改造の始まりとみられている。厚生省は、医薬品のモ
ニタリングを強化し、販売されている医薬品の可能な害反応(副
作用)を研究するために、医学専門家と消費者グループで構成さ
れる独立した委員会を設立すると語った。

厚生省の決定にもかかわらず、多くの疑問がいまだ残っている。
KFDAが製薬企業を保護し、PPAを含有する医薬品のリスクを軽視
した疑惑が広がっている。

9人の医学系の教授が2002年3月から2004年6月25日まで研究を引
き受けた。かれらの研究はPPAを含有する製品を生産する製薬企
業から財政的援助を受けた。KFDAは、PPAを含有する医薬品が脳
卒中と関係すると結論するこの研究の所見を遅らせたと批判さ
れている。75の製造企業には、Yuhan Corp,Choongwae Pharma,
Hanmi Pharm, Yungjin Pharm, Wyeth Korea, BMS Koreaが含
まれている。

KFDAは、PPAを含有する医薬品のリスクを軽視したために、集
中的な非難を浴びている。30歳以上の人たち、とりわけ女性の
出血性脳卒中の起こる可能性をPPAが増加させることがわかっ
てきているけれども、当局は7月31日の新聞発表でリスクの程
度については述べなかった。

KFDAが6月15日に研究結果を受け取ったあとでさえも、KFDAは、
今回禁止された170近くの医薬品のひとつに、7月20日に販売承
認を与えていた。別のPPAを含有する13のかぜ薬が、政府が製
薬企業にPPAを含有する医薬品の製造を差し控えるよう求めた
2001年7月以降に、販売承認を得ていた。

韓国では、査察監査委員会が、厚生省とKFDAによるPPAを含有
する医薬品の取り扱い、およびKFDAと当該企業との関係を厳し
く調べると語っている。
 (T)