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製薬企業が違法行為で空前の罰金を支払う−米国パブリックシティズンがレポート

2012-11-06

(キーワード: 米国製薬企業、違法行為、空前の罰金、パブリック・シティズン)

 2012年7月3日、製薬大手グラクソ・スミスクライン社が医薬品を不正に販売したなどの問題で、米国司法省は同社が製薬企業として過去最大の30億ドル(約2400億円)の罰金を支払うことで合意したと発表した。刑事上の罰金が10億ドル、民事上の支払いが20億ドルである。

 米国の医薬品監視団体パブリック・シティズンは2012年9月27日、以前2010年に発表した1991-2010年に製薬企業が支払った罰金についてのレポートを更新した。
 以下に、このレポート「製薬企業の刑事民事上の罰金: 最新情報」(※1)の要旨と、パブリック・シティズンのニューズレター2012年9月号に掲載された「ファイザーの数々の違法行為は外国での不正行為規制法違反を含む」の記事の要旨を紹介する。
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 「製薬企業の刑事民事上の罰金: 最新情報」レポート

 2010年にわれわれは、1991年以来の製薬企業が連邦政府や州政府に支払った罰金についてのはじめてのレポートを公表した。この時点で、製薬企業は、ほぼ200億ドル(約1兆6000億円)の罰金を、違法な適応外使用の販売促進やメディケア、メディケイドなど国民の税金による保健プログラムへの意図的な過剰請求などを含む数々の違法行為事件の解決のために支払っていた。その4分の3は、直近の2005-2010年に支払われていた。

 今回われわれは、2012年前半にいたるその後1年半分についてレポートを更新した。
 方法は前回と基本的に同様で100万ドル以上の罰金支払いを集計した。総計102億ドルに上る74件の罰金支払いがあり、2010年前半の罰金は、連邦50億ドル、州16億ドルと最大値を示している。1991年以来では、239件の罰金支払いがあり、罰金の支払いは総計302億ドル(約2兆3500億円)に及んでいる。政府の保健プログラムへの過剰請求は、主に州メディケイドプログラムに対する医薬品価格での詐欺行為であった。また、医薬品の違法な販売促進に対する罰金が最大のものであった。2010年前半に至る最近の研究期間では、支払われた罰金のうちグラクソ・スミスクライン社、ジョンソン&ジョンソン社、アボット社の3社が全体の3分の2を占めていた。ワースト3社のうちグラクソ・スミスクライン社がトップで、危険な糖尿病剤アバンディアの適応外使用の販売促進を含む数々の違反で罰金は31億ドルに上った。

 しかし、これら製薬企業が支払った罰金は膨大な金額だが、将来の違反行為を思いとどまらせるにはなお十分とはいえない。
 1991年以来支払われた300億ドルの金額は、トップ10の製薬企業が2010年の1年間のみで得た利益の3分の2をわずかに上回る程度に過ぎない。将来の違法行為を企業に思いとどまらせるには、より強力な法律とより確固とした法執行が連邦と州レベルで必要である。

「ファイザーの数々の違法行為は外国での不正行為規制法違反を含む」記事 
 米国を基盤とした巨大国際製薬企業ファイザー社は、この2012年7月に30億ドルの不正行為への罰金を課せられたグラクソ・スミスクライン社にトップを譲るまで、不正な適応外使用の販促と米国政府にメディケイドのような連邦プログラムで多額の支払いをさせるなどの不法行為で、多額の罰金を課せられる「トップ」企業であった。
 しかし、ファイザー社の違法行為は米国内にとどまるものではない。ファイザー社が完全に所有する子会社であるファイザーH.C.P.社は、米国司法省との協定のもとで2012年8月7日に、ブルガリア、クロアチア、カザフスタン、ロシアの行政官に200万ドルを超えるわいろを贈った件で1500万ドルの罰金を課せられたことを明らかにした、これはビジネス上の便宜を図ってもらうために他の国の行政官にわいろを贈ることを禁止した「外国での不正行為規制法」(FCPA)の違反行為である。このわいろで得た利益は700万ドルを超えている。
 ファイザー社は他の同様の外国での不正行為規制法違反でさらに4500万ドルを支払っている。この対象となった国々には中国とイタリアが含まれている。
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 ここで記されているように、大製薬企業(ビッグファーマ)のなかには、非常に多額の罰金を支払いながらも違法行為をやめようとせず、同じことを繰り返している企業がある。支払った罰金は販売促進経費とみなしているのかもしれない。パブリックシティズンが指摘しているように、違法行為を思いとどまらせるためには、より厳しい社会的制裁が必要であろう。      (T)
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