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リークされたTPP文書により米国が各国の医薬品供給システムの土台を崩すことが露呈

2011-11-22

(キーワード: TPP(環太平洋連携協定)、FTA(自由貿易協定)、医薬品供給システム、薬価と保険償還)

 TPP(環太平洋連携協定)は、例外のない関税撤廃を進めるというFTA(自由貿易協定)を太平洋沿岸の諸国に広げるもので、2010年から米国が主導して推進している。すでにオーストラリア、ブルネイ、チリ、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナム(ABC順)が参加している。しかし,TPPでは、関税という経済的規制の撤廃のみならず、医療の分野でいえば薬価基準制度や国民皆保険制度など各国が独自に進めてきた社会的規制をも、米国が「非関税障壁」とすることで変えさせようとしている危険性が問題となっている。

 必須医薬品への公正なアクセスの政策・活動などについて意見交換するE-ドラッグ2011年10月25日のオーストラリアからの投稿(※1)が、TPPに関する文書をリークしたメディアの記事(※2、※3)を紹介し、警告しているので要旨を紹介する。
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 リークされたTPPに関する文書は、米国がオーストラリアと太平洋諸国における医薬品アクセスの土台を崩そうとしていることを明らかにしていると、オーストラリア公衆衛生協会(PHAA)とオーストラリア公正取引投資ネットワーク(AFTINET)が指摘する。
「オーストラリア国民は、ペルーにおいて非公開で行われている通商についてのディスカッションが、オーストラリアと太平洋諸国での医薬品の使い勝手を変えることに関心を向けなければならない」と、オーストラリア公衆衛生協会(PHAA)のスポークスパースンであるデボラ・グリーソン氏が語った。

 リークされたTPPに関する文書は、米国が医薬品価格を引き上げ、命を救う医薬品に対する製薬企業の独占権を拡大し、オーストラリアの医薬品有効利用スキム(PBS)のような医薬品の償還プログラムを制限する条項を含めようとしていることを明らかにした。

 「国際的な通商規則は、医薬品有効利用スキム(PBS)や他の国々の同様なスキムなど各国独自の政策に優先して決めるべきでない」とオーストラリア公正取引投資ネットワーク(AFTINET)議長のパトリシア・レナルド氏は語った。そして,「オーストラリア人は、これらの文書が情報公開され国民的な吟味がされるよう要求すべきだ。保健社会政策に大きな影響をもたらすいかなる国際的な協定も、民主的な手順を経て決められねばならない。」とレナルド氏は付け加えた。
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 かつて小泉純一郎内閣の時代に、非関税障壁の撤廃と医療への市場原理の導入を求める米国の要求が強まり、「拒否できない日本」の新書本がベストセラーになった。
 米国大使館のウェブサイトには日本に対する年次「要望」事項が掲載された。この年次要望の掲載は鳩山由紀夫内閣の時代に中止されたのだが、いままたTPPの形での米国からの圧力が強められている。
 国民の健康と福祉のために自国の社会制度を定めるのは、独立国として当然の権利である。FTAが先行した韓国では、ジェネリック医薬品への移行など医薬品の合理的使用の推進が困難になっていることが伝えられている。公衆衛生や国民の福祉が非公開の経済交渉のなかでゆがめられるといったことはあってはならない。  (T)