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欧州医薬品庁(EMA)がヘルスアクションインターナショナル(HAI)の批判を受け、患者団体の企業からの独立性吟味を強化

2010-12-20

(キーワード:患者団体、患者・消費者団体、製薬企業、医療政策、利益相反、HAI EMA)

 患者/消費者団体がEMAの医療政策に参加する場合には、クリアすべき基準(資格)が設けられている。企業等との資金関係を明らかにする「透明性規準」などであるが、現状を調査し報告したHAIのレポートを前回取り上げた(※1)。レポートは、規準が十分に遵守されていないことを明らかにしているが、その後のEMAの対応について、ピンクシート誌(2010年10月25日号)の記事を紹介する。
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 EMAは、HAIのレポートの主張に対して広範な反論を展開したものの、透明性を高める努力をしている姿勢を示す為に一連の措置を提案したところである。“標準手順(Standard Operation Procedure:SOP)”を作成し公表することとした。これはEMAに既にある“手順”を、第4の部署が、具体的に明確にする作業であるという。この手順を明確にする作業の中で、団体が規準を守っているか監視を受けるプロセスに着手する。これによって、患者団体の資金関連の情報の透明性が保持されることになる、とした。  HAIはEMAの反論やこの措置にまったく満足していない。EMAは、患者団体がWeb上に全てを公開することを奨励しているがそれを強制する権限はないとしているからだ。一方でEMAは科学委員会に出席するメンバーには利益相反ポリシーを適応してオンラインで公開することを要求している。EMAの医療政策に関する患者/消費者ワーキング部会にもそれが適応されてよいのではないか、とHAIのPerehudoff氏は指摘する。なぜこのような方針の差があるのか。HAIのメンバーの推測によれば、当局は、市民社会代表はしばしばメディアの注目の的になるため極めてデリケートで企業とのいかなるかかわりも問題ありとみなされかねず、市民社会代表者と一般市民の間の信頼という絆に影響が出るとみなしているのではないか、という。しかし、Perehudoff氏は透明性を高める事こそ、信頼の絆を強めるはずだと語った。
 11月30日のEMA患者/消費者ワーキング部会では透明性に関する議論が行われる予定である。
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 EMAの具体的な作業はこれからのようであり、SOPの実効性を見ていく必要がある。
 日刊薬業(2010年11月19日号)の報道によると、日本製薬協は患者会が医療政策提言を行いはじめたことをふまえ、これまで患者会に情報提供役をつとめてきたが、さらに一歩進めて恊働し政策提言する方向にかじを切ったという。医療政策提言に際しては、患者会も企業も、それぞれ資金関係を明らかにし公開するべきであろう。(ST)