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公表されていないデータがファイザーの抗うつ剤が無効なことを示している ―ドイツ医療評価機構IQWIG

2010-11-24

(キーワード:出版バイアス、有効性の逆転、Reboxetine、IQWIG)

 BMJ誌オンラインファーストに、ドイツの医療評価機構IQWIG(どの医薬品などに公的支出を行うかを評価する、英国のNICEに相当する公的機関)の著者たちによるファイザー社の抗うつ剤レボキセチン(Reboxetine)の出版・非出版データを総合したシステマティックレビューとメタアナリシス(いずれもこれまで報告されている良質の論文の成績を総合して評価する手法)の論文が掲載された(BMJ341.c4737 2010.10.12、抄録は※1)。レボキセチン(Reboxetine)は、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤として最初に承認された抗うつ剤で、ドイツ・英国など欧州諸国で承認され用いられている。以下は論文の要旨である。
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 抗うつ剤レボキセチンは、はじめての選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤として、いくつかの欧州の国々で1990年代に販売承認されたが、米国は2001年に承認を拒んでいる。今回のわれわれの論文は、大うつ病に対するレボキセチンの効果を、プラセボまたはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)と比較した、出版されたデータだけでなく出版されなかったデータも総合して評価した最初のシステマティックレビューである。結果は出版バイアスを如実に示しており、出版されたデータはレボキセチンが有効であることを示しているが、出版されていないデータを合わせると結果は逆転し、無効なことが明らかとなった。また有害である可能性も示された。レボキセチンはいくつかの欧州の国々で1990年代に販売承認されたが、米国は2001年に承認を拒んでいる。英国の医療評価機構NICEは、出版されたデータに基づくシステマティックレビューの結果により、そのガイドラインでレボキセチンを推奨しているが、見直しが必要であろう。
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 現在市販されている医薬品について、出版されていないデータも含めて総合解析すると、
従来有効とされていたものが無効であることが明らかとなり、有害である可能性も示しているという、ドイツの公的医療評価機構IQWIGによるBMJ誌オンラインファーストに掲載された論文である。この論文は臨床試験の登録と結果の公開の重要性を如実に示している。   (T)