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ピオグリタゾン(アクトス)の膀胱がんリスク

2010-10-25

(キーワード:ピオグリタゾン、アクトス、ロシグリタゾン、アバンディア、膀胱がん)

 FDAは2010年9月17日、医療者と患者に向けて、アクトスの膀胱がんリスクについてレビュー中であると発表した(※1)。以下は、その内容である。
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 アクトスは動物やヒトのデータで潜在的な膀胱がんのリスクが示されていたことから、武田薬品はアクトスと膀胱がんが関連するかについて、10年間の疫学研究を行った(1997年1月〜2008年)。このほど5年間時点の中間データがFDAに提出され、FDAは検討を開始し概要を発表した。193,099人の40歳以上の糖尿病患者でのデータで、アクトスの投与期間の中央値は2年間である。全体でアクトスのハザード比は1.2ではあるが、95%信頼区間は0.9-1.5で有意ではなかった。しかし、投与期間が長くなるにつれ、またアクトス投与の増加に伴って膀胱がんリスクが増加し、24ヶ月の使用では有意であった。FDAは現時点でアクトスが膀胱がんと関連するとの結論に至っていないとしている。
 米国ではアクトスが1999年に認可されているが,動物実験では臨床使用量レベルの血中濃度でラットに膀胱がんが監察されており、また、3年間のランダム化比較試験 (PROactive 試験と肝安全性試験の二つ)の結果もアクトス使用群で高い割合で膀胱がんが発生している。
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 当会議では、日本でのアクトスが発売直後に、アクトスの三つの危険性、心毒性,肝毒性、発がん性(膀胱がん)を指摘し販売中止の要望書を提出している(2000年10月)。

 同じ作用機序を持つ二つのグリタゾン類、ピオグリタゾン(アクトス)とロシグリタゾン(アバンティア日本未販売)であるが、世界で市販後すでに10年余を経過した。ようやく、リスク/ベネフィットがリスクの傾いていることが明らかになりつつある。 アバンティアは心毒性のために、EUでは2010年9月23日、メーカーに承認の一時停止を通告したため、数か月内に市場撤去されることになる((※3)また、FDAも2010年9月23日FDAはアバンディアにREMSを課すことで、アバンディアへのアクセスを制限することを明らかにしている。  (S.T)