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FDAの透明性強化政策 不承認理由などの公開を含む21提言を発表

2010-08-11

(キーワード: FDA、透明性、情報公開、不承認理由、提言、パブリックコメント)

 FDAは2009年6月、透明性強化タスクフォース(Transparency Task Force)を組織し、積極的な情報開示の推進などを目的とした、透明性イニシアティブ(FDA Transparency Initiative)を打ち出した。これは、2009年1月就任のオバマ大統領政権による政府の透明性強化策を受けたものである。このFDAによる透明性イニシアティブは、つぎの3つの段階を経て実現されるべく、作業が進んでいる。(これら透明性強化タスクフォースや透明性イニシアティブに関する情報はFDAウェブサイトで見ることができる。(※1)

第1段階: FDAの組織と機能に関する情報を一般に提供し理解を得る。

第2段階: FDAの情報公開に関する規定を提言する。

第3段階: FDAと企業の間の透明性を推進する。

 第1段階は、2010年1月FDAウェブサイトに「FDA Basics」というページが開設され、FDAの組織や機能に関する126項目のQ&Aや担当責任者による施策内容解説のビデオなどが公開されている。また、2010年4月には「FDA-TRACK」ページが作られ、100を超える部署からの業務実績報告などが公開されるようになった。第3段階は、FDAと規制企業間の透明性をより高めるための方法を探ることを目的としたヒアリングが、2010年1月中に3回実施されたところである。
 第2段階としては、2010年5月19日、透明性強化タスクフォースから21項目の情報開示ルールが提言され、7月20日までパブリックコメントの募集を行っている。これら21項目には、承認申請情報や安全性・有効性に関する情報、副作用情報などの情報開示に関する規定が含まれている。FDAはこれまでも、承認時の諮問委員会情報など、情報開示を行ってきているが、今回の提言では、承認申請が受理されなかった場合や申請を取り下げた場合も、不承認の理由なども含め情報公開することが明言されている。タスクフォース議長のシャーフステイン氏とイニシアティブ責任者のアサモア氏によるFDA透明性強化政策に関する論文では、今回の提言が実現されるためには法改正が必要となるものも含まれており、全てが実現するとは限らないものの、これら提言が実行されFDAが積極的な情報公開を行うことは、企業が他社製品の成功と失敗を学ぶことを可能にし、ひいては希少疾病薬などの開発促進につながると、その意義を強調している。(※2)
 これまで、承認された医薬品/医療機器の有効性・安全性に関する情報公開は進められてきたが、開発が途中で中止された医薬品や申請段階で承認されなかった製品については、それまでの研究開発情報が論文として発表されることもなく、企業内でお蔵入りとなり公開されずに終わることが多かった。しかし、これら失敗に終わった研究開発の情報こそ、その後の研究にとっては重要な情報である。タスクフォースによる今回の提言はこれらの情報が公開情報になることを意味し、他社企業の製品開発に役立つと同時に、医薬品や医療機器の使用者である医療者・患者にとっても、承認された製品を評価するときの周辺情報として有意義な情報になることは間違いないだろう。 (Y)