注目情報

  1. ホーム
  2. 注目情報

患者からの有害事象報告("副作用報告")を受け入れ始めた英国

2004-07-12

  [キーワード: 有害事象報告("副作用報告")、患者からの直接報告、英国 ]

 米国FDA(食品医薬品局)は古くから、医療専門家からの医薬品有害事象報告とともに、患者からの直接報告を受け入れています。最近もFDAは、処方せん薬・OTC(非処方せん薬)のラベリング (添付文書などの医薬品の表示)には、患者がFDAに有害事象を報告するための無料通話電話番号を記載すべきとの提案を行いました。

 しかし日本では、厚生労働省は医師・薬剤師など医療専門家からの報告に限定し、患者・市民からの直接報告を受け入れようとしていません。このことは、医師がその薬による有害事象と考えなければ報告がなされないなど、重大な有害反応(副作用)の見逃しにつながりかねないし、また、患者参加の医療という面からも時代の要請に応えるものとはなっていません。

 日本がお手本にしてきた有力な有害事象報告制度に、英国のイエローカード・システムがありますが、最近、英国保健省は市民団体の要望に応え、患者からの直接報告を受け入れる方針を明確にしました。

 英国MHRA(医薬品・ヘルスケアプロダクト規制庁)は、5月4日、患者からの直接報告が副作用情報の収集面で優れているとして、患者からの有害事象報告を直接受け入れる方針を表明、7月28日期限でパブリックコメントを求めています(※1)。

 これにはQ&Aも付いていて、「患者がMHRA(医薬品・ヘルスケアプロダクト規制庁)/CSM(医薬品安全性委員会)に直接報告できるようになるのはいつからか?」の問いには、できるだけ早くできるようにする。パイロット的にいくつかの方法を試みる、と答えています。

 翌5月5日のマスコミは、「患者が医薬品の有害反応を報告する権利を獲得」(ガーディアン)、「患者が医薬品有害反応を報告へ」(ディリーテレグラフ)、「患者が医薬品の問題を報告へ」(BBCニュース)、「患者が英国の医薬品安全性で中心的な役割へ」(メディカルニューズ・ツディ)などと、大きく報道しました(下記のウエブサイト参照)。

 患者からの直接報告の実現に向け、活発に活動してきた市民団体ソーシャルオーディット(チャールス・メダワー代表)のウエブサイト(※2)がのべているように、患者からの有害反応報告がスムーズに機能するようになるまでには、まだまだ紆余曲折がありそうですが、日本でも患者からの有害事象直接報告の実現は大きな課題となっているだけに、英国でのこの進展をともに喜びたいと思います。
 (T)