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EU評議会議員会議(※1)が「虚偽のパンデミック、保健への脅威」のディベートを開催

2010-02-26

(キーワード:WHO、パンデミック、新型インフルエンザ、EU評議会)

 日本や北米、ヨーロッパの多くの国では新型インフルエンザの流行は終息に向かっており、現在日本や米国を含む「裕福な国家」では余剰A/H1N1ワクチンの処分に頭を悩ませている。このような中、WHOがH1N1ウイルスの危険性を製薬業界の影響下で誇張したのではないかという批判がくすぶっている。以下はピンクシート・ディリー2010年1月14日の記事「WHOのインフルエンザ担当責任者が”虚偽のパンデミック”批判に反撃」の要約である。
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 WHOのインフルエンザ担当のフクダケイジ氏は、最近のインフルエンザH1N1パンデミックをWHOが煽ったという批判に答えて、「パンデミックは現に進行中であり、WHOが行き過ぎたのでなく、また製薬企業がWHOの決定に影響を与えたものでもない」と2010年1月14日の記者会見で語った。フクダ氏は名前をあげなかったが、ドイツの社会民主主義の政治家でEU評議会の保健会議議長であるWolfgang Wodarg氏が批判をしている。EU理事会は1月28に関係者を招いて「虚偽のパンデミック、保健への脅威」と題するディベートのための議会集会を開催する。フクダ氏は「今回のパンデミックが重篤なものでないことはWHOも当初からそう考えていたが、1999年以来のWHOガイドラインはパンデミックについて地域的な広がりを基準にしており、疾患の重症度は基準にしていない」と強調した。1月18日チャン事務総長はWHOの専門家委員会にディベートの準備をするよう指示した。
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 EU評議会議員会議(PACE)でのディベートは1月26日から29日に行われ、何人かの議員達が問題提起を行い、フクダ氏も参加して、WHOの弁護の答弁を行っている。 ある議員からの発言では、スイスのノバルティス社等の名前を挙げて、製薬企業がWHOに働きかけたとしている。詳細とディベートの光景はPACEのホームページ(※2)に掲載されている。
 重症度を考慮に入れないパンデミックの定義は公衆衛生からみて大きな問題がある。又、WHOのパンデミック宣言がワクチンや抗インフルエンザ薬を製造販売した製薬企業に莫大な利益をもたらしたことは事実であり、WHOと製薬企業の利益相反問題をきっちり検証する必要がある。(G.M)