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FDA安全性部門が,LABAsに関して懸念を表明

2009-06-23

 FDA諮問委員会は、安全性が問題となっている長時間作用型β作動薬(LABAs)を含む製剤の喘息効能について、どのように取り扱うか検討した。
 この経緯については、注目情報「FDA諮問委員会はセレベントの喘息効能削除を勧告」をご覧頂きたい(※1)。
 その際、新薬部門(OND)と安全性部門(OSE)とで意見が分かれ,安全性部門は、これらの製剤の18歳以下への使用に関して懸念を表明した。このことをピンクシート誌2008年12月15日号が伝えている。
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 長時間作用型β作動薬(LABAs)を含む製剤の喘息効能について、FDA諮問委員会において、新薬部門と安全性部門とで意見が分かれた。
 新薬部門は、LABAsのリスクは効能の削除をしなくとも、添付文書改訂、Medguide(薬剤師が患者に渡す医薬品説明書)などREMS(注)の手段で対応が可能とした。
 他方、安全性部門は、すべてのLABAsを含む製剤から18歳以下への喘息適応を削除、セレベント、Foradilは全年齢について喘息効能を削除、同時に喘息患者への使用を禁忌にするようにとの意見を表明した。チームの何人かのメンバーはアドエア、Symbicortについても全年齢で喘息効能を削除すべきとの意見であった。
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 アメリカでは、COX-2阻害剤による大規模な薬害などで、FDAの医薬品の安全性確保に対する批判が高まったが、そのなかでも、FDAの医薬品評価研究センター(CDER)にある医薬品安全性部門(OSE)の地位が低く、市販後安全性についての検討結果をFDA諮問委員会で報告することさえ困難なことが問題とされた。
 この間、市販後の医薬品安全性に関する独立部局をFDAに新設する法案提出の動き(※3)や米国立科学アカデミー医学研究所(IoM)による医薬品安全監視システムを改善する提言がなされた(※4)。
 これらを受けて、FDAでは、市販後の重要な安全性に関する問題については、新薬部門と医薬品安全性部門の代表から構成される学際的なチームによって取り扱われ、2つの部門が対等の責任を有することが確認された(※5)。
 従来、FDAの安全性部門では、FDA諮問委員会で自分たちの安全性評価結果について報告することが困難であったものが、こうした最近のFDA改革によって報告が可能になったのである。(G.M)


注:REMS(リスク評価.リスク軽減戦略)は、「FDA再生法」(2007)に基づいて新たに導入されたシステム。FDAは 必要と認めれば、市販後であれ市販前であれ,医薬品のリスクを見極めそのリスクを最小限にするための管理プログラムを企業に提出させることができる 。REMSでリスク軽減のためにとられる対策の基本項目は、1.リスク評価のタイムテーブル 2.安全使用の保証方法 3. 薬剤師が患者に渡す医薬品説明書Medguide 4.コミュニケーションプラン 5.実行する上でのシステムなどである。