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薬局で患者に渡される処方せん薬の説明書の内容改善、米国の取り組み

2009-02-09

(キーワード:患者向け説明書、処方せん薬、CMI)

 米国FDA(食品医薬品庁)の消費者向けサイトに掲載された「処方せん薬のリーフレット(小型の印刷物)は改善が必要」を紹介する(2008年12月16日付け、※1)。
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 薬局では処方せんを調剤した際に、初めての医薬品が処方されていれば“患者向けおくすり情報”を薬袋といっしょに患者に渡す。これはCMI (Consumer Medication Information) と略称される。薬局はこのCMIを通常、外部の企業から買っている。企業は「医療専門家向け添付文書」を参考にしながら作るが、CMIはFDAの規制下にはない(註1)。
 最近の研究報告(註2)をもとに、FDAはこの“患者向けおくすり情報”CMIの改善が必要だと考えている。この研究は、全米を調査したもので、模擬患者が調剤薬局を訪れCMIが渡されるかどうか、また渡されたCMIの内容について検討した。その結果は、新処方に対して、94%にCMIが渡されたが、最低限の必要事項の記載は75%に止まった。1996年に議会が定めた目標は、2006年までに95%を達成することであった。目標に至らない時はFDAに改善策をとるよう求めている。
 FDAの医薬品評価研究センター長官であるJanet Woodcock 氏は、「今のシステムでは安全で効果的に薬を服用できる良質の情報が提供できていない」「実際的で有効な解決法を、患者、薬剤師、制作会社、医療専門家と協力して探さなければならない」と述べた。2009年初めには、FDAのリスクコミュニケーション諮問委員会が、この研究報告を議論する公聴会を開く予定である。 
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 現在、厚生労働省に設置されている「薬害肝炎検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討会」でも、患者への情報提供のあり方が論点のひとつとなっている。
 薬害オンブズパースンでは、これまで3回にわたり、患者向け説明書の作成と交付の義務づけについて要望書を提出し、個別薬についてはハルシオンの患者向添付文書について問題提起をしている。   (S)



註1  「 医療専門家向け添付文書」はFDAの規制下にあり、「Drug Labeling」、「Package Inserts 」あるいは「Prescribing Information」と言われる。一方、「患者向け説明書」は、 ごく少数の処方せん薬を除き、FDAの規制下にない。規制されているのは、非常にリスクの高い処方せん薬について作成され患者に渡される「Medication Guide(通常MedGuide)」と、ホルモン剤や避妊薬で作成される「Patient Package Inserts」のみである (※2 )。

註2 米国薬学評議会(National Association of Boards of Pharmacy)の依頼でフロリダ大学薬学部が、全米を対象に行った調査。