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米国世論調査はFDAに医薬品の早期承認よりも安全確保を期待

2007-11-13

(キーワード:米国世論調査、FDA、医薬品の安全性)

米国では、医薬品の安全性やFDAに対する国民の認識を把握するために世論調査が適宜実施されている。最近では、ファイザーから資金提供を受けて行われたアメリカ大学による世論調査及びメルマングループ&パブリックオピニオンストラテジーによる世論調査がある。いずれも800名を対象とする電話調査である。
2007年9月20日、アメリカ大学において、メルマングループ&パブリックオピニオンストラテジーと共同で、医薬品の安全性及びFDAに関する全国調査の結果が報告された(※1)。
FDA再生法が議会を通過し、2007年9月27日ブッシュ大統領が署名したが、上記2つの電話調査は、FDA再生法が医薬品の安全性確保のためにFDAの権限を強化している点を支持する結果となっている。すなわち、米国国民の多くは、新薬の販売承認に多少時間がかかったとしても、FDAに医薬品の安全性確保を求めている。また、FDAの機能や医薬品の承認過程について一部誤解はあったものの、医薬品の安全性確保に関するFDAの権限に対する信頼は高いものと評価された。他方で、55歳以上の男性には、深刻な副作用のリスクがあったとしても、早期承認を求める意見が多く見られた。
上記の調査結果は、2007年9月24日付FDCレポート・ピンクシート誌に掲載されているので紹介する。以下はその要旨である。
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ファイザーからの資金提供を受けてアメリカ大学によって行われた800人に対する電話調査の結果、23%がたとえ深刻な副作用があってもできる限り早く新薬が利用可能となることを望んでいたのに対し、72%が、新薬の承認におけるFDAの最も重要な目的は、新薬が患者に利用可能となる前に深刻な副作用リスクがないことを明らかにすることにあると述べた。そして、医薬品の問題に対する情報提供機関として、FDAは最も信頼される傾向(82%)にあった。
さらに、メルマングループ&パブリックオピニオンストラテジーによる国内調査の結果もまた同様であり、81%が医薬品の安全性確保に関しFDAを信頼できると評価していた。そして、66%が議会は医薬品の安全性を確保するFDAの能力をより高めるべきであると述べ、72%が新薬の承認におけるFDAの最も重要な目的は、医薬品を販売する前に深刻な副作用がないことを明らかにすることであると述べた。
これに対し、55歳以上の男性には、医薬品の安全性に深刻な問題があっても、早期承認を望む声が多く挙がっていた。
 これらの調査の結果、米国においては、たとえ医薬品が市場に出るまでの時間が増大するとしても、医薬品の安全性を確保するためのFDAの権限を強めることに関し、多くの国民の支持を得ていることが判明した。   (G)