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利益相反を開示しなかった前FDA長官に罰金9万ドルなどの判決

2007-04-20

(キーワード: 利益相反非開示、クロフォード前FDA長官、判決、罰金9万ドル、
監視観察処分)

 インフルエンザ治療剤タミフルの副作用を検討する厚生労働省研究班の主要メンバーに
タミフルを販売する製薬企業から金銭が渡されていたばかりか、その金銭が班研究費の大きな部分を占めていたという実態が明らかになり、厚労省研究班の中立性・信頼性が大きく揺らいでいる。
 日本と比較すればこのような利益相反の存在が早くから問題となってきた欧米ではあるが、その米国で議会の認証を必要とする最も重要な職責にある食品医薬品局(FDA)の前長官がFDAで、FDAが所管する企業の株を保持しながら虚偽の報告をしたり、企業の利害に大きく関係する勧告を行う作業部会の議長を務めていたことが判明し、食品医薬品行政の信頼性を揺るがせた(※1)。このほど、FDA長官を辞任後、議会へのロビー活動を行う企業に勤めていたクロフォード氏に判決が下された。英国医師会が発行するBMJ誌2007年3月10日号からその要旨を紹介する。
 この事件は、行政と企業との癒着が日常化しており、利益相反問題への対処が極めて重要な共通課題であることを改めて示している。

 前FDA長官のレスター・クロフォード氏が、先週コロンビア州の連邦地方裁判所で、
89,377ドル(約1060万円)の罰金と、3年間の監視観察処分(supervised probation)、50時間の社会奉仕の判決を言い渡された。
 昨年10月クロフォード氏は、2つの容疑に対し有罪を認める答弁書を裁判所に提出していた。ひとつは自身と妻がFDAの指導している企業の株を所持していることを報告していなかったこと、もうひとつは虚偽の報告書を作成したことである。この報告書提出は米国法で求められている。また、それぞれの容疑は1年間の刑務所入りと10万ドルの罰金を科される可能性のあるものであった。
 2006年3月に、クロフォード氏はワシントンに本拠をおくロビー活動推進企業のポリシー・ディレクションに加わった。クロフォード氏は少なくとも1年間ロビー活動に携わることを禁じられる。   (T)