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EMEA(欧州医薬品庁)が専門家の利益相反を「リスクレベル」で分類して対処

2006-10-23

(キーワード:、EMEA、利益相反、専門家・委員会メンバー、リスクレベル分類)

 医薬品の承認審査や市販後明らかになった有害副作用への対処に際して、当局が意見を求める専門家が、その医薬品を販売する製薬企業と金銭的な関係をもっていれば、公平さに問題を生じる。この「利益相反」に対する対処は、日本では非常に遅れているが、欧米では重大な問題として認識され、対処が進んでいる。その1例として、最近EMEA(欧州医薬品庁)が意見を求める専門家と諮問する委員会メンバーについて、「利益相反」の程度を「リスク・レベル」として評価・分類し、そのレベルによってどれだけEMEAの活動全般に関与できるかを決定する新たなシステムを導入したことを、スクリップ誌2006年8月11日号から紹介する。「利益相反」に対し、「利益相反」の開示は当然のこととして、その相反の程度により国民の健康や生命にもたらす危険性を「リスクレベル」として分類し、行政として対処していることが注目される。以下は記事の要旨である。
 なお、次のEMEAのサイトに、各専門家について具体的に段階を踏んで利益相反の程度を評価・分類していく記載様式が示されている(※1)。また、EMEAのDIAG(利益相反評価グループ)の構成メンバーやその手順については、次のEMEAのサイトに示されている(※2)。

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 専門家や委員会メンバーは殆どの場合、製薬企業との接触があり、利益相反の問題が生じる。EMEA(欧州医薬品庁)は、意見を求める専門家と委員会メンバーの「リスクレベル」を判断する新たなシステムを導入する。

 専門家を利益相反の程度に応じて3つのリスクレベルに分類し、それに応じて当局の活動にどの程度関与できるかを決定する。リスクレベル1から3に分類し、3が最もリスクレベルが高い。

 リスクレベル1の専門家は、EMEAの活動全般に関与できる。リスクレベル2と判断された専門家の関与はその果たす役割と仕事の性質に依存し、EMEAのDIAG(利益相反評価グループ)に諮って決定する。リスクレベル3と判断された専門家は関連する事項に関与してはならず、EMEAはその分野で代替する専門家を探さねばならない。見つからないときは、DIAGに諮り、DIAGが免責を適用してリスクレベル2の専門家と同じ扱いをするかを検討して、推薦する。

 リスクレベル分類の手順は「全般的スクリーニング」「再分類」「微調整」という3段階の過程がある。「全般的スクリーニング」では、EMEAは専門家の職業上の背景と申告された利害関係の性質によって、確定リスクレベルとしての1または3、あるいは暫定的リスクレベルとしての2に分類する。製薬企業の背景をもつ場合は自動的に3に分類され、大学・研究所や行政関係の背景をもつ場合は1か2に分類される。「再分類」は2に分類された専門家のみを対象に、特定の製品や状況に関係する各専門家の利益相反の程度を具体的に細かく検討し、確定リスクレベルの1、2、3のいずれかに分類される。
 例えば申告された利害関係で、審査の対象となっている製品、またはそれと競合する製品を持つ会社と50000ユーロ(約750万円)以上の関係がある場合、それらの製品の主要な研究者である場合、特許を所持している場合は3と分類される。「微調整」は3と分類され関与ができない場合に、代替する人を探すなどの過程である。
                           (T)