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一般用医薬品のインターネット販売

1 一般用医薬品のインターネット販売問題とは

2006年に成立した改正薬事法で、リスクの程度に応じて専門家による適切な情報提供がなされるための制度構築などが盛り込まれた。厚生労働省は、2009年2月6日、医薬品通販は、①3類医薬品に限ること、②通販を行う医薬品は店舗にも置いておかなければならないこと、③通販の方法などについて届出をすること、④医薬品通販の広告には所定の事項を記載しなければならないこと、を内容とする薬事法施行規則等の一部を改正する省令(薬事法施行規則の一部改正)を制定した上で、同年5月、郵便等販売(通販)について、薬局・薬店のない離島の住民および郵便等販売の継続購入者に対しての2年間の経過措置を提案した。
 薬事法改正論議の中、インターネット販売事業者やモール事業者を中心に、医薬品のネット販売の全面解禁を求める様々な動きが起こった。当会としては一貫してネット販売に反対してきた。

2 取り上げた経緯

これに対し、ネット販売業者であるケンコーコム株式会社他が第1類及び第2類の一般用医薬品について、ネット販売をすることができる地位を有することの確認を求めて訴訟を提起し、地裁では敗訴したが高裁で勝訴し、国が最高裁に上告していた。
そして、2013年1月11日、最高裁判所は、第1類及び第2類の一般用医薬品のインターネット販売を一律に禁止することは、憲法22条1項で保障された職業活動の自由を相当程度制限するものであるから、省令で規制するには、法律の委任が必要であるが、現行薬事法には根拠規定がなく、省令で一律禁止することまで委任したとは読み取れず、違法・無効であるとして、国の上告を棄却した。
この判決を受けて、厚生労働省は、2月、従来の規制に代わる一般用医薬品のインターネット販売等について新たなルール等を早急に検討するとして、「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」を設置した。政府の規制改革会議も並行して検討を進め、全面解禁を求めた。

3 何が問題か

最高裁判決は法律の委任がないのに省令で禁止することを違憲としたものであり、法律に改めて規定を設けてネット販売を禁止することまでを違憲としたわけではない。ネット販売を解禁しては医薬品の安全な使用を確保できない。従って、薬事法を改正して明確な条文を設けることがあるべき姿である。しかし、最高裁判決がある以上ネット販売を解禁せざるを得ないかのような報道等が散見された。
また、最高裁判決後、一気に一般用医薬品のネット販売が常態化し、何らルールをもたない状況に陥った。

4 基本的な行動指針

これまでの医薬品販売制度改正への方向性と同様に、対面販売の原則堅持を求めていきながら、ネット販売が解禁状態にある現状の中で、より厳しいルールの策定を求めていくこととする。

5 具体的行動とその結果

  1. (1) 2013年1月11日の最高裁判決を受けて、1月23日、「薬事法を改正して明文の規定 を設けて、『対面販売の原則』を明記したうえで、一般用医薬品のインターネット販売を原則として禁止するべきである」とする、「一般用医薬品のインターネット販売に関する意見書」を厚生労働大臣に対し提出した。
  2. (2) しかし、厚生労働省は、同年2月、従来の規制に代わる一般用医薬品のインターネ ット販売等について新たなルール等を早急に検討するとして、「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」を設置した。検討会には当会議の増山ゆかり委員が参加した。この検討会では、ネット販売反対派、推進派の意見が平行線のまま、具体的なルール策定には至らず、論点の整理にとどまり、双方の意見が両論併記の形で報告書に掲載された。
  3. (3) 政府は、同年6月14日、日本再興戦略において、「一般用医薬品についてはインター ネット販売を認めることとする。その際、消費者の安全性を確保しつつ、適切なルールの下で行うこととする」とした。
  4. (4) 厚生労働省は、同戦略を受けて、同年8月、「一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ」を開催し、具体的なルールの策定をするとしている。この作業グループには、当会の増山ゆかり委員が参加している。

6 今後の活動

最高裁判決を受け、一気にネット販売に踏み切る事業者が増えている現状の中で、具体的なルール策定は必須である。「対面販売の原則」をどこまでネット販売で実現させるかが、大きな争点となっている。当会としても、増山委員をバックアップしながら、消費者の安全確保のため、より厳しいルール策定を求めていくとともに、解禁後の実態について監視を続け、さらに問題を提起していくことが必要である。
また、前年度までは密接に共同行動を実施してきた消費者団体との関係が希薄になっていることを大きな課題として、より積極的に意見交換や共同行動への働きかけを継続していく必要がある。

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