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 一般用医薬品の販売については、2009年6月に施行された改正薬事法で、第3類のみインターネット販売が認められ、経過措置として、本年5月まで、既に購入実績のある人等に対してのみ2類の販売が認められています。
 そんな中、政府は昨年10月、内閣官房に設置されている高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(略称 IT戦略本部)に「情報通信技術利活用のための規制・制度改革に関する専門調査会」(以下、「専門調査会」)を設置し、急遽、安全を担保した上でとしながらも、医薬品のネット販売の規制緩和の是非についての調査を開始しました。
 医学薬学の専門家を中心とした厚生労働省検討会での薬事法の改正議論の際にも、規制改革会議から規制緩和が強く求められたものの、安全重視を求める消費者や薬害被害者の声を受け、対面販売の原則が守られました。しかし、専門調査会には薬の専門家は一人もおらず、厚生労働省、関係団体・企業からの意見聴取は昨年11月30日に開催された第3回の会議でのたった1回のヒアリングで済まされました。
 薬害オンブズパースン会議では、専門調査会が昨年末に実施した意見募集に対して、規制緩和に反対する意見(パブリック・コメント)を提出、本年1月21日には、内閣総理大臣、厚生労働大臣、行政刷新・消費者特命担当大臣、消費者委員会に対し、薬害被害者団体、消費者団体等25団体の連名で意見書を提出し、記者会見を行いました。
 提出した意見は、一般用医薬品のインターネット販売の原則禁止の必要性を訴え、今回の専門調査会の審議について、5年間に及ぶ厚生労働省検討会の審議を無視、不十分な専門調査会の審議時間、医薬専門家不在、薬害被害者や消費者団体等の軽視等の問題点を指摘しました。
 規制緩和をすすめる人たちは,高齢者や障がい者、離島居住者などの利便性が損なわれると主張していますが、むしろ、これらの方々に対してこそ、専門家の指導による適切な医薬品の使用が強く求められます。消費者が求める利便性は、あくまで安全を前提にしたものなのです。今後も規制仕分けやTPPの検討の場など、ネット販売の規制緩和を求める動きが続きますが、私たちは、一般用医薬品のインターネット販売に関して,規制緩和に反対していきます。

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