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再質問書に対する楽天の回答

2009-02-24

2009年2月2日付で提出した「一般用医薬品のネット販売に関する再質問書」に対し、2月9日付で楽天株式会社より回答書を受領しました。

今回の回答に対する私たちの意見を述べます。

1.催眠鎮静剤の大量販売事例について

 回答では、2006年5月、当時19歳の少年が、製造メーカーが乱用防止のため販売を一人1箱に限るよう販売店に求めていた鎮静剤(1箱12錠入り)を、楽天市場の医薬品販売サイトにおいて24箱購入し、他2店店頭からの購入分6箱をあわせて服用して自殺を図って重い障害を負った事例について、「通信販売及び店頭双方で大量購入を行っており、医薬品の用法・用量などを大幅に逸脱した目的外利用であることから、対面販売でないことを『起因とする』、医薬品の副作用により発生する健康被害の問題ではないと考えます」としています。
 しかし、当該少年は、当初店頭での入手を試み、自宅周辺の店舗を回ってみたものの、2店で計6箱購入するのが限界だったため、店頭での購入を断念し、インターネット購入を試みたところ、きわめて容易に1店舗で24箱購入できたというのであり、通信販売及び店頭の「双方で」大量購入したというのは事実ではありません。
 対面販売であれば、購入者が若年者であることが分かり、乱用の危険性がより高いと判断されること、購入者への質問による使用目的の確認等が容易なこと、他の顧客など第三者の目があることが購入者・販売者の双方に対し異常な大量売買の抑止力となることなどから、店頭で本件のようなルールに反する大量販売がなされることは通常考えられません。本件は、まさに、購入者と販売者が対面せず、第三者の目にも全く触れることなく売買できるというインターネット通販の特性によって生じた大量販売事例というべきです。
 また、回答では、本件は医薬品の用量・用法などを「大幅に」逸脱した目的外利用であるとして、購入者側の問題点を強調しています。しかし、これは、裏を返せば、24箱の同時購入がいかに異常であるかを示すものであり、何のチェックもなくこれを販売した販売店(薬剤師)側の問題の重大性を認めないのは、フェアではありません。
 さらに、回答では、本件が「目的外利用」であることから、「医薬品の副作用により発生する健康被害の問題ではない」ことを強調しています。しかし、医薬品の安全性確保にあたっては、副作用のみならず、医薬品の乱用、すなわち目的外利用が問題となることは、医薬品の販売に関係する薬剤師等にとっては常識です。特に、医療用医薬品では医師の処方箋が要求されることが乱用の抑止になるのに対し、購入が容易な一般用医薬品では乱用の防止が重要であり、実際に、過去に一般用医薬品の乱用が社会問題となった例もあります。もし、楽天株式会社が『目的外利用だから販売者側の責任は少ない』と考えているのだとすれば、同社には医薬品販売の安全性について語る資格はないというほかありません。

2.再質問事項に対する回答について

 再質問では、楽天株式会社が行っているパトロール活動の具体的内容(質問1)と、同社が楽天市場内の医薬品販売サイトに対して行った具体的な指導事例等(質問2)をお尋ねし、それによって、医薬品をインターネットで販売するについてはどのような問題が起こりうるのか、また同社がそれにどのように対処し、再発防止をはかっているのかを確認させて頂くことを意図していました。
 しかし、パトロールについては「表示内容の確認」というのみであり、医薬品販売の安全性確保という視点からの具体的なチェックは何ら行われていないことが明らかとなりました。質問2に対する回答も具体性に乏しく、そもそも、これまで医薬品販売の安全性確保という視点からのチェックが行われていないために、インターネット販売で起こりうる問題点そのものが把握されていないことが窺われます。
 医薬品の健康被害については、公にならない「暗数」が生じやすいことがこれまでの研究で明らかとなっています。加えて、インターネット販売の可視性の低さを考慮すれば、インターネット販売の実態について十分な調査が行われていない上記のような状況の下で、ただ問題事例が公になっていないことを根拠にその安全性を強調する楽天株式会社の姿勢は誤っています。