調査・検討対象

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タミフル(リン酸オセルタミビル)

1 タミフルとは

一般名 リン酸オセルタミビルカプセル、リン酸オセルタミビルドライシロップ
商品名 タミフルカプセル75、タミフルドライシロップ3%(いずれも中外製薬)
適応症 A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防
承認 カプセル:2001年2月
シロップ:2002年4月
販売高 06 380億(政府備蓄244億)
07 387億(政府備蓄285億)
08  84億(政府備蓄 13億)

2 取り上げた経緯

タミフルは、2001年の発売以降、インフルエンザの「治療薬」として順調に売り上げを伸ばし、2003年1〜3月には、日本での使用量が全世界の7割を占めるほど繁用されるにいたった。しかし、タミフルは、「治療薬」として、平均して約1日程度早く症状が治まること以外有効性が実証されていない。他方で、発売当初から、意識障害、異常行動、突然死などの重篤な有害作用を起こすことが報告されていた。当会議は、インフルエンザ対策についての啓発活動と、タミフル服用後の突然死・異常行動に関連して使用禁止をもとめる意見書・要望書の提出、意見陳述等を行ってきた(詳細は前年まとめ参照)。しかし厚労省はパンデミック対策を背景に、早期にタミフルの安全宣言をしたい構えであり、引き続き監視が必要な状況である。

3 何が問題か

  1. (1) 有効性
    「治療薬」として、約1日位早く症状が治まる程度に過ぎない。喘息患者では逆効果のこともあり、耐性ウイルスが出現することもある。「予防薬」としてもインフルエンザ様症状を示す人の割合はほぼ変わらない。しかもハイリスク者に対しての臨床試験は行われておらず、インフルエンザ脳症の予防効果はない。
  2. (2) 危険性
    承認時のデータで、投与患者の約3割(カプセル)から約5割(ドライシロップ)に吐気、頭痛、嘔吐などの他、意識障害、せん妄、幻覚、突然死、けいれんなど重篤な有害作用も起きている。2007年3月20日には、タミフル服用後に転落して骨折した2例の報告を受けて、厚労省は緊急安全性情報の発出を指示、10歳以上の未成年者に原則的に投与しないという警告が出されたが、2008年9月時点までで、300人を超える異常行動、50人近い突然死の症例が報告された。
  3. (3) 薬価
    タミフル(カプセル)は、1錠309.10円、1回処方されると3091円(治療目的で1日2回・5日分、予防目的で1日1回・7〜10日分)かかる。新型インフルエンザによるパンデミック対策用の備蓄として政府が買い上げたタミフルは06〜07で529億円にのぼる。
  4. (4) 利益相反問題
    タミフルと有害作用との因果関係などを研究する厚労省「インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」の主任研究者らの講座に、タミフルの輸入販売元の中外製薬から「奨学寄付金」名目で多額の寄付金が渡っていることが明るみにでた。このことは、研究班の「成果」である報告書が作成された当時、明らかにされていななかった。医師と製薬企業との経済的関係を規制すべきとする世界的趨勢に反するものであり、医薬品の安全性確保の観点で大きな懸念を抱かざるを得ない事態となった。
  5. (5)「パンデミック」問題とタミフル
    厚労省は、タミフル服用後の異常行動に関しての因果関係はあくまでも不明であり、インフルエンザでも異常行動が起こるため少なくとも2日間は保護者が目を離さぬようにとの注意喚起をすることで、タミフルによる危険性が強調されないような配慮を行っている。一方で、新型インフルエンザによるパンデミック対策として大量備蓄を行っている。インフルエンザの治療に必要な薬という認識が、製薬メーカーの宣伝や、パンデミック対策に関連したマスメディアによる報道等を通じても形成されている。

4 当会議の対応・今後の方針

これ以上被害を出さないため、引き続き情報収集し、適切な提言等を行う。

5 具体的行動とその結果

2008年7月10日に、横田班(「インフルエンザ随伴症状の発現状況に関する調査研究」主任研究者横田俊平)の研究を引き継いだ廣田班(主任研究者廣田良夫)の中間報告が出され、タミフル非使用群に比べて使用群のほうが異常行動の頻度が小さいとする解析結果が発表された。これに対して、各界からデータ解析の誤りが指摘され、当会議としても、2008年9月12日、厚生労働省医薬食品局安全対策課に対して、10代に対する原則使用禁止の措置を解除してはならないこと、研究の基礎となったデータを含めこれまでの非臨床的、臨床的、疫学的研究結果に関する詳細情報を全面的に公表すべきとの「タミフルの使用禁止措置に関する意見書」を提出した。厚労省は10代への原則禁止処置を解除しシーズンを迎える目算だったが、データ処理(入力)上の誤りを理由に結論は先送りとなった。その後もデータ解析方法をめぐって議論となり、日本薬剤疫学会においても、解析の誤りが明らかとなり、2008年12月24日「『インフルエンザ随伴症状の発現状況に関する調査研究』の基礎データ公開等を求める要望書」を提出、厚生労働大臣、医薬食品局安全対策課長あて「インフルエンザ随伴症状の発現状況に関する調査研究」の基礎データ等の速やかな全面公開、及び中外製薬の不適切な小冊子の回収等適切な指導を求める要望書を提出した。また、同日付で中外製薬株式会社には「不適切な小冊子の回収を求める要望書」を郵送した。中外製薬からは1月30日付けで「一般の方々がインフルエンザに対する正しい知識をもつのに有用」とする回答があったが、事故防止の観点がないことなどに答えたものとはなっていない。

6 今後の課題

  1. (1) 廣田班の最終結果
    2009年4月19日には、廣田班の最終結果がまとまり、タミフルと異常行動の因果関係を否定することはできなかったことを発表したが、「新型インフルエンザ」の発生によって、検討が遅れている。
  2. (2)「新型インフルエンザ」への過剰反応によるタミフルの明らかに危険な使用の拡大
    2009年4月30日WHOは、メキシコで発生した豚由来インフルエンザ(H1N1)の人-人感染が確認されたことを受け「新型インフルエンザ」と断定した。FDAは1歳未満時へのタミフル使用を解禁し、日本産婦人科医会は妊婦の罹患者に対してタミフルやリレンザの使用を推奨する通知を出すという、従来の危険性に対する常識が全く通用しない状況となる危険が増大している。タミフルの危険性を軽視した使用が広がり、更なる被害が拡大することがないよう、正しい情報の発信および、実質の使用制限を強化する運動が必要である。