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フランス消費者団体連合会は製薬企業から独立したMRの創設を提案

2007-11-16

(キーワード:フランス消費者団体連合会、医薬品情報提供者、MR、UFC-Que Choisir)

  スクリップ誌2007年9月28日号による記事である。
 処方箋を書く医師にとって製薬企業から派遣される医薬品情報提供者(MR)は、大変便利な存在である。一方、企業側は製品の販売促進のために多大な経費をかけて医師に働きかけを行う。医師教育や情報提供に名を借りて行われる販売促進活動の深刻な状況については、注目情報コーナーでも取り上げて来た*1。この企業の販売促進の一部を担うMRであるが、フランス消費者団体連合会は、企業の影響力を薄める方策として企業から独立した医薬品情報提供者(MR)の創設を提案した。以下、要約である。
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  フランス消費者団体連合会UFC-Que Choisir は、不適切な処方が書かれたことで国民保健システムの財源から巨額な過払いがあったことを告発した。2002-2006年について分析したところによると、三つの医薬品カテゴリーで6億5千万ユ−ロ(約1千億円)にものぼる過払いがあった。同連合会は、不適切な処方は、処方を自己コントロールできなくなった医者のせいであるが、その原因は明らかに医者に大きな影響力を持つ大手製薬企業にあり、そのツケは国民保健システムの利用者にまわされているとして、製薬企業をまっこうから非難している。また、企業の販売促進チームが医者向けに情報を作成する一方で、正しい情報は医者に届かなくなっていると指摘している。これらを解消する方策として、同連合会は、政府保健政策諮問機関HASのもとに企業から独立した医薬品情報提供者(MR)グループを1700創設し、その費用の半分は製薬企業が負担することを提案した。
  この告発を受けて立った製薬企業連合会は、処方者と企業の関係は、EUや国の法律により定められていること、医者との関係における倫理面は厳密な国際憲章と協定で決められていると反論に出た。
  消費者団体連合会と製薬企業連合会は、2006年度医薬品広告販売促進規制報告書の解釈でも、つい先ごろ対立している。政府の出した統計データについて、消費者団体連合会は企業が製品の有用性のみを誇張していると指摘しているのに対して、製薬企業連合会は厳格に規制に従っていることを示している、と反論した。
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 フランス消費者団体とは別の方向で、米国では、医師の処方に対する製薬企業の影響を排除するための「処方プロジェクト」の活動があることをすでに紹介した(※2)。これらは処方に及ぼす製薬企業の力がそれほど深刻な状況にあることを示すものであろう。(ST)