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豪州の製薬企業は医療従事者への贈り物を明らかにしなければならない

2007-10-17

(キーワード:医薬品プロモーション、規範コード、医療従事者への贈り物、
豪州、ACCC、Medicines Australia)

 2007年8月29日付「注目情報」で、米国における製薬企業と医師との経済的関係についての全米調査の結果(2007年4月報告)と、欧米の内科4学会の作成した医師憲章や日本医師会の「医師の職業倫理指針」について紹介した。医師への医薬品販売促進(プロモーション)について、日本製薬工業協会(製薬協)は、1993年に「IFPMA(国際製薬団体連合会)医薬品マーケティングコード」にも準拠した「医療用医薬品プロモーションコード」を制定し、「会員会社は、医薬品の適正使用に影響を与えるおそれのある物品や、医薬品の品位を汚すような物品を医療担当者に提供しない」「会員会社は、医薬品の適正使用に影響を与えるおそれのある金銭類を医療機関等に提供しない」等のことを定めている。しかし、前記全米調査のような調査は、日本ではされていない。
 豪州では、2006年7月に、「競争・消費者委員会」(the Australian Competition and Consumer Commission, 以下ACCCと略す)が、Medicines Australia(製薬企業団体でACCCの会員)が制定した改訂自主規範コードについて、「企業が提供したもてなしの詳細を提出し、そのデータをウェブ上に公開しなければならない」との条件を付けて認めるとした。これに対し、Medicines Australiaは、その取り消し等を求めて、同年9月に、競争問題を扱う裁判所(the Australian Competition Tribunal)に提訴した(BMJ 2006;333:278, スクリップ 2006;3189:19)。しかし、2007年6月27日、裁判所は、Medicines Australiaの訴えを却下した。
 以下は2007年7月4日付スクリップ誌記事の抄訳である。
--------------------------------------------------------------- 豪州の法廷は、製薬企業が医療ケアの専門家に教育およびプロモーションに関するイベントを提供した時は、その全てを報告しなければならないと判決を下した。食品、飲料、宿泊、旅行、娯楽を提供した時は、企業はリストにあげなければならない。
 裁判所は、ACCCがその規範コードとして課した状態を取り消すようにと、企業の連合体であるMedicines Australia から要請された。ACCCは、会員の経済団体(trade body)に対し、医療ケアの専門家に提供したイベントについて年に2回報告するように要請した。Medicines Australiaは、2006年9月に、ACCCの決定を不服として上訴した。
裁判所はACCCに有利な判決を下し、Medicines Australia に対し、そのコードを改めるために3か月の猶予を与えた。会員の経済団体はまた、企業が判決に従うことをそのウェブサイトで公にわかるようにすることを求められている。
 Medicines Australiaは、この判決はコードによってもたらされる既存の大きな公益に対しては何も付け加えないと思っている。
 コードに違反した場合は20万豪州ドル(167,570米ドル=1ドル120円として、約2,011万円)までの罰金と、その修正行動を必要とする。                  (K)

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