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白血病治療薬「マイロターグ」に関する公開質問書送付

2011-10-27

 2011年10月27日、世界9カ国で販売中止となった白血病治療薬「マイロターグ」が唯一日本で販売継続されるにあたって、国内での安全確保対策についての公開質問書を関係2学会に送付しました。

 マイロターグ[一般名:ゲムツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)、製造販売:ファイザー株式会社]は、抗体に抗がん剤を結びつけて白血病細胞に送り込もうとする、いわゆる「分子標的薬」で、わが国では2005年7月に、急性骨髄性白血病治療薬として承認されています。

 もともとこの薬は2000年5月に米国で「迅速承認」されたものの、(「迅速承認」は、“仮免許”のようなもので、後に臨床試験をしてその薬の有用性=有効性と危険性を比較して有効性が上回ること、を確認することがメーカーに義務付けられている)その後の臨床試験で十分な結果が得られなかったことから、メーカーが2010年10月に承認申請を取り下げて販売を中止したという経緯があります。同薬は米国以外の9カ国(日本を含む)でも承認されましたが、このうち日本を除く8カ国では米国と同様の動きがあり、その結果、同薬が承認されているのは世界で我が国だけという状態になっています。なお、EUではもともと承認されていません。

 マイロターグは、細胞傷害性のある抗がん剤カリケアマイシンを、抗原抗体反応を使って、白血病細胞だけに選択的に送り込むという意図で開発されましたが、実際には白血病細胞以外にも多くの傷害を与えることが動物実験や臨床試験であきらかになり、有効性よりも危険性が高い、バランスを欠いた医薬品であると思われます(詳しくは「急性骨髄性白血病治療薬マイロターグの問題点に関する当会議の考え方」をご覧ください)。
 仮に他の治療法がなくなった一部の患者に限って限定的に使うにしても、当然、その際には副作用についての厳密な管理が求められます。また、データを分析することで、どのようなタイプの患者に有効であるかがわかるような計画である必要があります。

 厚生労働省は、マイロターグを販売継続するにあたり、適正に使用されるための措置を講ずるよう関係学会に指示等を行いました。この指示を受けて、2011年8月、日本血液学会及び日本臨床腫瘍学会によるマイロターグ症例登録事業が開始されています。しかし、同事業の内容の詳細が一般に公表されていないため、具体的にどのような安全確保対策を行うのか、同事業の展開が本当にマイロターグの適正使用につながるのかどうかが不明です。そこで当会議は、学会に対して公開質問書を送付し、問い合わせることとしました。

 マイロターグ症例登録事業に関する質問の趣旨は、以下のとおりです。回答期限は1カ月としています。

1 本事業では、臨床試験に求められるような厳密な患者選択、副作用チェック体制の整備、及び効果判定を目的とした症例追跡等を行うことは、計画されているでしょうか。

2 上記の計画がある場合は、具体的な計画内容をご教示ください。あわせて、可能であれば計画書を開示してください。