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「動脈硬化性疾患診療ガイドライン2002年版に関する公開質問書」に対し、日本動脈硬化学会から回答(コレステロール低下剤関連)

2004-08-10

当会議が2004年6月22日に提出した「動脈硬化性疾患診療ガイドライン2002年版に関する公開質問書」に対し、日本動脈硬化学会より7月15日付けで回答をいただきました。
 公開質問書では、ガイドライン内容が冠動脈疾患予防効果に終始し、総死亡や癌死亡への悪影響を考慮していないことや、国内の疫学データを考慮していないという点を指摘し、高脂血症の診断基準・脂質管理目標値設定の根拠、およびガイドライン作成過程について質問していました。 しかし、回答書では、それらに対する具体的回答は一切ありませんでした。
回答書には、学会は動脈硬化性疾患を予防するのが目的の学会であると書かれており、極論すれば、それさえ予防できれば癌や総死亡については関知しないともとれる内容で、とうてい国民の健康を総合的に考える姿勢を有しているとは考えられませんでした。
また回答書の中で、コレステロール値が低い人では癌死亡率が高いという疫学データに関しては、「コレステロールが低いために癌になったのではなく、あくまでも癌になった結果コレステロールが下がっているのだ」と結論づけています。
しかし、多くの疫学調査ではこの点に配慮した(すでに癌があるために低コレステロールになっていた人のデータは除いて分析した)調査がなされており、動脈硬化学会の主張を裏付ける根拠は極めて乏しいのが現状です。また、コレステロール低下剤使用により癌が増えたという臨床試験結果もあります。さらに、低コレステロールは免疫に悪影響するとのデータもあり、現在では、コレステロール値の低下は感染症や癌の発症に関係しうるという考え方が有力になってきています。
当会議としては、今回の回答に対し、詳細に検討を加える予定ですが、とりあえず、ホームページへの掲載にあたり、簡単にコメントしておきます。