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化血研血液製剤不正製造問題

1 化血研血液製剤不正製造問題とは

一般財団法人化学及血清療法研究所(以下「化血研」という。)は、熊本医科大学にワクチン、抗血清、診断抗原等の製造及び供与を目的に設置されていた実験医学研究所を母体として、1945年に設立された製薬メーカーである。
2015年5月の化血研職員による公益通報(内部告発)を契機として行われたPMDAや第三者委員会による調査によって、承認された内容と異なる方法によって不正に血液製剤が製造されていたことが判明。不正な方法による製造は12製品31工程にも及ぶ。

2 取り上げた経緯

本件は、本来直ちに医薬品製造販売業の許可取消しとするべき案件である。しかし、厚生労働省は、2016年1月8日、化血研に対して110日間の業務停止命令を行うにとどまった。しかも、出荷停止の対象となったのは化血研がもつ全35製品のうち8製品にとどまり、残りの27製品についてはシェアが大きいことや代替品がないことを理由として対象外とされた。このように、自社製品のうち不正製造された製品も含めた8割近くの製品を販売し、かつ利益を上げ続けることができてしまっては、業務停止処分に本来期待されている機能は著しく損なわれる。そこで、化血研に対する処分の実効性と薬機法違反行為の再発防止を目的として、調査検討を開始した。

3 何が問題か

  1. (1) 12製品31工程に及ぶ不正製造
    第三者委員会の報告書によると、化血研においては、遅くとも1974年頃からアルブミンについて承認書と異なる製造方法が採用されるようになった。そして、1980年代に入ると、薬害エイズ問題によって国内の加熱血液製剤の生産増強が社会的に要請される中、化血研においても早期製品化や安定供給を目的として、承認書と異なる製造方法が多数の製品において採用されるようになっていった。
    上記報告書が挙げるその代表例2つを以下に記載する。
    1. .離丱トMに関するヘパリンの添加
      1989年頃、乾燥濃縮人血液凝固第衆子製剤である「ノバクトM」に関して、承認申請のために行われていた臨床試験において、予定している製法では原料となる第衆子が製造工程途中で活性化されてしまい止血効果がなくなるなどの問題が生じたため、その対策として上流工程においてヘパリンを添加することとなった。
      しかし、ヘパリンを添加する製造方法で承認を申請すると、臨床試験のやり直しを指示されて発売開始が遅れる可能性があること、同一の上流工程を経て連産されている他の多数の製剤についても全て一部変更承認の申請が必要となる可能性があったことなどから、当初予定していた製造方法を前提としたまま製造承認を取得した。
    2. アンスロビンPにおける製造工程の省略
      乾燥濃縮人アンチトロンビン契什沺屮▲鵐好蹈咼鵤弌廚砲いては、承認書に3回の硫酸アンモニウム分画工程が記載されていたが、3回目の分画工程を行うことにより深夜の作業が発生してしまうために、同工程を省略することになった。
      しかし、同製品は海外メーカーからの技術承継品であり、同メーカーとのライセンス契約上、異なる方法で製造することが認められていなかったため、一部変更の承認申請を行わないまま製造方法の変更がなされることになった。
  2. (2) 立入検査に対する組織的な隠ぺい工作
    1. コンファクトFにおける虚偽の製造記録
      化血研においては、遅くとも1995年頃からコンファクトFの製造チームにおいて、実製造の製造記録と、承認書に沿った虚偽の製造記録が作られるようになった。第三者委員会の報告書では、当時の体制や指揮命令系統に照らして、担当者だけでなく血漿分画製造部門の部長・課長も虚偽の製造記録作成の事実を知っていたはずだと認定されている。
    2. 組織的な隠ぺい工作の指示
      1997年頃から、翌1998年以降当局による立入検査が厳格化・定期化されるとの情報を受け、当時の血漿分画製造部門の第一課長より、不正製造の発覚を回避するように指示が出され、以下のような様々な組織ぐるみの隠ぺいが行われるようになった。
      1. 1) 実製造の製造記録と立入検査用の虚偽の製造記録の2種類の製造記録を作り、両者が区別できるように書体を変えた。
      2. 2) 実製造の製造記録のうち承認書と異なる箇所のページ数を小数点入りのものにして挟み込み、立入検査の際には当該ページのみを迅速に抜けるように準備した。
      3. 3) 試薬の出納記録を確認されると承認書との不整合が発覚してしまうため、試薬についても虚偽の出納記録を作成した。
      4. 4) 過去の製造記録や出納記録までも虚偽のものに作り替え、その際、承認欄の筆跡に似ている者にサインをさせたり、古く見せるために紙を紫外線で焼いたりした。
      5. 5) 立入検査に備えて、想定問答集を作成し、予行演習を行うなどした。

4 基本的な行動方針

化血研に対する処分の実行性と再発防止を目的として、抜本的な制度改善を求める。

5 具体的行動とその結果

2016年5月11日、厚労大臣に対して、以下を趣旨とする要望書を提出した。

  1. 化血研の不正製造及び虚偽報告に関与した者及び化血研の両者に対して早急に刑事告発を行うこと
  2. 公益通報制度がより利用しやすくなるよう、公益通報者保護制度の更なる周知啓発を行うとともに、所轄の行政機関以外の第三者機関における通報受理と同機関における調査権限の確立などの制度改善を行うこと
  3. 化血研に対する規制当局の立入検査方法の適否について検証を行った上で抜本的な制度の見直しを行うこと
  4. 業務停止処分期間中の出荷停止対象外製品について、真に対象外とする必要があるか厳しく判断すると同時に、当該医薬品出荷による利益を吐き出させるための必要な法整備を行うこと

上記に関連し、厚労省は、2016年8月、血液製剤などを製造する国内の36事業所に対し2017年度から年1回抜き打ちで立ち入り検査を行うことを決め、そのために調査員を約2割増やすとともに、体制強化に充てる経費として17年度予算の概算要求に4億4000万円を計上した。

トピックス

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2016-05-11
「化血研による不正製造問題に関する要望書」を提出