調査・検討対象

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OTC小児用かぜ薬

1 OTC小児用かぜ薬とは

総合感冒薬とは、頭痛・発熱・咽頭痛・筋肉の痛み・咳・くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどといった、いわゆるかぜ症候群(普通感冒)の諸症状の緩和に効果を出すように、解熱鎮痛剤・鎮咳去痰薬・抗ヒスタミン剤などを複合した医薬品をいう。これらのうち小児への用法を有する一般用医薬品(OTC医薬品)の総合感冒薬を、「OTC小児用かぜ薬」とする。

2 取り上げた経緯

かぜ薬はもともとかぜ症候群の症状を緩和するだけで治癒させる効果は無く、特に小児では有効性の根拠が乏しく、かつ、危険であるとされ、米国では死亡例も報告されている。2007年後半より、米国、カナダ、英国、ニュージーランド、豪州の医薬品規制機関が相次いで小児へのかぜ薬・咳止め薬の使用を制限したが、日本では添付文書に注意喚起が追記されただけで、再評価も行われていない。

3 何が問題か

  1. (1) 米国、カナダ、英国、ニュージーランド、豪州では規制されているが、日本では具体的な年齢制限等が行われていない。
    <上記諸外国の規制と日本の対応の比較>
      2歳未満 6歳未満 12歳未満
    アメリカ 使用不可 使用可(但し4歳未満は、大衆薬協会の自主規制) 使用可
    カナダ 使用不可 使用不可 使用可
    イギリス 使用不可 使用不可 使用可(但し第1選択肢としては勧められず)
    オーストラリア 使用不可 使用不可 使用可(但し、要薬剤師薬に指定)
    ニュージーランド 使用不可 使用不可 使用可
    日本 使用可(医師の診療を優先、やむを得ない場合のみ) 使用可(保護者の指導監督の下で服用) 使用可(保護者の指導監督の下で服用)
  2. (2) 厚労省は被害の実態を把握していない可能性がある
    厚生労働省は、日本におけるかぜ薬等に関連した副作用報告件数が少ないことを、年齢制限見直しを行わない根拠にしている。しかし、現在わが国には、患者から直接副作用を報告できる制度は存在しないため、厚生労働省が根拠とする副作用報告件数はあくまで一部の情報に過ぎないという点に留意する必要がある。
  3. (3) かぜ薬(総合感冒薬など)はかぜを治癒させる効果はない
    OTC小児用かぜ薬等は、明確なエビデンスに基づいているものではなく、単に経験的に効果があるとして使用されているに過ぎない。むしろ、海外での比較試験などにおいて、明確に有効性が否定されているものも多い。また、薬剤そのものの副作用の危険が存在する上に、生体防御反応を抑制させてしまうことにより、かえって合併症の増加や治癒を遅らせることにつながる危険も存在している。
  4. (4) 小児は自己の症状を適切に訴えることが出来ない
    一般に概ね6歳未満の小児は自己の症状を適切に訴えることが出来ないため、医師でない限り、一般消費者が当該児の病名を的確に診断することは困難である。そうだとすれば、少なくとも6歳未満の小児に対しては、一般消費者が、自己の判断のみでOTC小児用かぜ薬等の投与の可否を判断することは不適切である。
  5. (5) OTC小児用かぜ薬の情報提供が充分に行われているという実態にない
    厚労省は添付文書に記載されている「小児に服用させる場合には、保護者の指導監督の下に服用させること」「2歳未満の乳幼児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ服用させること」等の情報提供を幅広く行うことで適正使用されれば具体的な年齢制限等を行わなくても問題無いというスタンスをとっている。しかし、OTC小児用かぜ薬は情報提供が努力義務である指定第2類のため、情報提供が充分に行われているという実態にない。

4 基本的な行動方針

  1. 6歳未満の小児への使用を禁止させる。
  2. 小児用かぜ薬に関する有効性、安全性に関する情報を周知する。
  3. 安全性が確保できる販売方法を徹底させる。

5 行動と結果

  1. (1) 行動
    1. 厚労省等に対して、以下の3点を要望の趣旨とする要望書の提出(2010年11月17日)
      • 6才未満の使用禁止
      • 有効性・安全性に関する情報の周知徹底
      • 第1類へのリスク分類の変更
    2. OTC小児用かぜ薬販売実態調査
      2010年6月から9月に全国のタイアップグループの協力で全国の薬局における販売実態調査を行ったところ、積極的かつ適正な情報提供が行われている割合は低かった。
  2. (2) 結果
    1. 厚労省の反応
      2010年12月22日、都道府県等に対し適正使用情報の徹底に関する周知依頼の通達
    2. 日本チェーンドラッグストア協会の反応
      2010年11月19日、全会員企業に対し、「小児用かぜ薬」の情報提供強化の連絡
      2010年11月22日、「特に販売時に情報提供(注意)すべき医薬品」リストの送付<
    3. 日本OTC医薬品協会の反応
      2011年1月11日、情報提供のためのミニポスターを作成し、全国の販売店に届ける

6 取り組みの問題点、今後の課題

  1. (1) 6歳未満への使用禁止とリスク分類の変更については、海外の情報を引き続きチェックしつつ、必要があれば再度6歳未満への使用禁止を求めていく。
  2. (2) この点については、当会議の活動により一定の成果を見た。しかし、厚労省の通達や、日本チェーンドラックストア協会・日本OTC医薬品協会の対応によって、小児用かぜ薬等の販売実態が改善されているのかについては、引き続き監視する必要がある。

トピックス

  • 薬害オンブズパースン会議
  • タイアップグループ
2010-11-17
OTC小児用かぜ薬等に関する要望書提出