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FDAが2型糖尿病治療の新薬に心血管リスクが一定値以下であることを求める2008年ガイダンスを改訂し、新たなガイダンスを公表

2020-10-06

(キーワード)2型糖尿病治療薬,心血管系リスク,新薬リスク評価ガイドライン


 米国では、2型糖尿病治療薬ロシグリタゾン(商品名アバンディア:日本未発売)等の投与によって心筋梗塞や心血管死亡が増加するという報告が社会的な問題となり、FDAは2008年ガイダンスにて、新規2型糖尿病治療薬に対し、心血管系リスク評価試験(CVOT)にて心血管リスクが一定値以下であることを求めてきた*1。

 FDAは、この12年間に実施されたCVOTのレビューをふまえ、心血管系リスク評価中心のガイダンスから、より広範で長期的な第形蟷邯海砲茲襯螢好評価を求めるガイダンス改訂案を公表し、パブリックコメントを求めている。改訂ガイダンス案について、Pink Sheetの記事を通じて紹介する。

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 FDAは、新規2型糖尿病治療薬に関して、重大な心血管リスクを回避するために大規模臨床試験をメーカーに課した2008年ガイダンスを撤回する。新たな“2型糖尿病:血糖コントロールを改善するための新薬安全性評価”ガイダンス案は、第形衫彎音邯海砲いてより多くの患者でより長期にわたって安全性評価を行うもので、内分泌代謝薬諮問委員会の支持も得たとする。

 2008年ガイダンスは、ロシグリタゾンや他の2型糖尿病治療薬に関する心血管系の安全性への問題から制度化され、2型糖尿病治療薬の開発と市場化の方法を塗りかえた。しかし、2008年ガイダンスが発行されて以降、主要な心血管系のリスク増加を示すCVOTは一つもなく、最近では臨床試験により、心血管系リスクを軽減したという利益を主張するものもある。また、いくつかの試験では、心不全、糖尿病性腎障害などの、心血管系以外のリスクに対する注意を必要とした。

 そこで、新しいガイダンスは、長期に慢性的に使用する2型糖尿病治療薬について、心血管系リスク回避に限定しないで、長期的な安全性を評価できるデータベースのサイズと、より広範でリスクの高い有害事象を試験するに必要な患者数を重視した。

 第形衫彎音邯海竜模については、4000患者・年を対象とし、そのうち1,500人以上は1年間、500人は2年間継続するとしている。さらに、合併症患者の条件として、慢性腎臓病患者500人以上、心血管系600人以上、65歳以上600人以上を必要とする。これらの合併条件を複数抱える患者も多いことから、少なくとも1つの条件を持つ患者1,200人以上をめざすとしている。また、開発プログラムで特定されたリスクを回避するために、必要な患者数の追加や、新たな安全性データの収集が必要な場合は第形蟷邯海某覆狒阿FDAと相談すること、そして独立したデータ安全監視委員会を設置する必要があるとしている。

 FDAは、スムースな移行を容易にすべくケースバイケースで企業と進め、新ガイダンスにより医薬品開発の遅れを避けると述べた。

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 FDAは、心血管リスクを回避するために必要な臨床試験を課したガイダンスを撤回し、第形衫彎音邯海鬚茲蠡人佑塀乎弔納損椶掘△修了邯慨間と評価の幅を規定したガイダンスへと改訂しょうとしている。
 
 本来、2型糖尿病治療の目標は、動脈硬化の進行による心筋梗塞や脳梗塞等の大血管系合併症を予防することにある。そのため、心血管系リスクを評価する臨床試験を課した2008年ガイダンスの意義は大きい。腎障害等の心血管系以外の合併症に関する安全性や長期的安全性が問題であるとするなら、心血管系リスクに焦点を当てた2008年ガイダンスを廃止するのではなく、心血管系以外の合併症に関する安全性評価を可能とする試験を新たに加える改訂こそが望ましいと考える。FDAによるガイダンス改定案は、新薬の市場販売の早期化を望む製薬企業側の意向に沿う改定ではないか。 
                                    (N.M)
 

参考:Pink Sheet 2020年3月9日,Medscape 2020年3月12日