米国FDAが新糖尿病薬に求める心血管リスクについての試験は申請中の品目にも適用
2009-02-09
[キーワード: FDA、糖尿病薬、販売承認申請、心血管リスク試験]
米国で、承認されれば大型製品になるとみられていた糖尿病新薬ムラグリタザールが心血管リスクで開発中止になったのに続き、すでに大型製品となっているアバンディア(アクトスの類薬ロシグリタゾン、日本未承認)の心筋梗塞など心血管系に対する害作用が問題となり、社会に衝撃を与えた(※1)。
安全対策を検討していたFDA(食品医薬品庁)は、2008年12月、開発中の糖尿病新薬に心血管系に対する害作用のリスクを排除(軽減)するため、大規模な長期臨床試験を求めるガイドラインを製薬企業に示した。これらの試験は、現在申請中の糖尿病新薬にも要求される。
スクリップ誌2008年12月26日号記事の要旨を紹介する。
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２型糖尿病の治療剤を開発中の製薬企業は、「容認できない」(unacceptable)心血管リスクを排除するために、より規模の大きい、より長期間にわたる試験を求められると、FDAが2008年12月17日に発表した。新ガイドラインは、開発中の薬剤のみならず、すでに申請されFDAが審査を保留していた薬剤にも適用される。このため、新たな試験の実施や再解析の実施のために、薬剤の販売承認は大幅に遅れる見通しである。
ガイドラインは製薬企業に、心血管疾患のリスクが高い患者での試験を行い、第��/第�形蠅鯆未犬討凌慣豐桧汰汗�の総合解析(メタ解析)を実施して、臨床開発中に糖尿病薬によるリスク増加を80%ないしそれ以上排除するよう、指導している。
糖尿病患者は、糖尿病でない患者と比較して、2-4倍心臓病リスクが高い。そして、現在承認されている糖尿病薬には、そのリスクを減じると誰もが納得するよう証明したものはない。
FDAの新しいガイドラインは、概ね長期安全性試験の実施を促した諮問委員会の勧告に添ったものとなっている。評価項目(エンドポイント)は独立したエンドポイント委員会で決定するよう求められているが、最低限心血管死、心筋梗塞、脳卒中は含むよう求められている。リスクの低減がはっきり示されるよう、心血管疾患のリスクが高い患者での試験が求められており、これらの患者として、糖尿病の進んだ患者、高齢の患者、腎障害の患者などが例示されている。
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糖尿病薬をFDAに申請中の製薬企業にとっては厳しいガイドラインとなったが、当会議がアクトスについての公開反論書(※2)にも記載したように、糖尿病治療剤は長期にわたり用いられ、糖尿病治療剤の最終目的は２次性の心血管障害などの予防に他ならないことから、「容認できない」心血管リスクの排除は当然のことと言えよう。 (T)
