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米国FDAがイレッサの承認取り消しを2012年4月25日付官報でやっと通知

2012-06-05

(キーワード: イレッサ、FDA、承認取り消し、官報通知)

 アストラゼネカ社は2011年2月1日、FDA(米国食品医薬品庁)に2011年9月30日をもってイレッサの新薬承認申請を取り下げることを同日に通知し、今後米国で販売承認を求める計画はないことを公表した(※1)。しかし、世界や日本のマスメディアはこのことを全く報道していない。

 それから1年以上が経過した2012年4月25日になって、FDAはイレッサの承認取り消しをやっと官報(Federal Register)で通知した(※2)。

 日本ではイレッサ訴訟において、2011年11月15日に東京高裁が、そして2012年5月25日には大阪高裁が、いずれもイレッサには有効性、有用性があると認めて原告に全面敗訴の判決を言い渡している。

 以下に、米国官報記事の要旨を紹介する。
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FDAは、アストラゼネカ社が行ったイレッサ錠の新薬承認申請(NDA)の承認を取り消す。
アストラゼネカ社はこの申請の承認が取り消されることを自発的に求め、そのため(承認取り消しについての)公聴会開催の機会を権利放棄した。 

■補足情報: 
 2003年5月2日、FDAは、イレッサ錠を迅速承認規定(21CFRパート314、サブパートH)のもとで承認した。イレッサは、プラチナ製剤およびドセタキセルによる化学療法がともに有効でなかった患者で、局所的に進展したあるいは転移した非小細胞性肺がん患者に対する継続治療で、イレッサ単独投与で効果が得られる患者を適応としていた。
 2010年8月26日、FDAは、サブパートHのもとで承認条件として要求した市販後臨床試験においてイレッサの臨床効果の確認ができなかったため、イレッサ錠の市場撤去をアストラゼネカ社に対して要求した。
 2011年2月1日、アストラゼネカ社は、FDAに対し、同年9月30日をもってイレッサ錠の承認を取り下げる旨の通知をした。同社は、これについてビジネス上の決定であるとし、承認取り消し決定前に通常要求できる公聴会開催を求める権利を放棄するとした。ただし、同社による拡大アクセスプログラムでイレッサを投与されている約250名の患者に限りイレッサを継続して供給するとした。
これに対して、2011年2月4日、FDAは、アストラゼネカ社に対して、これらを了解することを伝えた。
 今後、承認申請なくしてイレッサを商業的に供給することは、不法行為として規制される。   (T)
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