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2月26日のHPVワクチン(「子宮頸がんワクチン」)に関する厚生労働省意見交換会及び審議会の審議について

2014-03-01

 2014年2月26日に開催されたHPVワクチン(「子宮頸がんワクチン」)に関する意見交換会(※1)および厚労省審議会(※2)の審議は、厚労省と審議会の偏った姿勢を示すものでした。
 
 午前中の意見交換会では、ワクチンに含まれるアジュバントが副作用を引き起こすという研究成果を公表している海外の2名の研究者と、国内の1名の研究者によるプレゼンテーションが行われましたが、進行は、各研究者が10分の発表を行い、その都度、コメントと称して、発表者と反対の立場に立つ海外の研究者2名(1名はテレビ参加)、審議会委員、参考人などが次々と批判的な意見を述べるというもので、発表者の反論の時間は極めてわずかしか与えられず、とても「意見交換」と呼べるようなものではありませんでした。
 午後の審議会の冒頭では、午前中の意見交換会の内容が倉根一郎委員(国立感染症研究所副所長)により紹介されましたが、プレゼンテーションに関する報告が内容の紹介とは言いがたいほどに簡単なものであったのに対し、批判のコメントについては詳細に紹介し、「発表内容は科学的な根拠に乏しいとの印象を受けた」などとまとめられました。
 そして、その後、広範な疼痛と運動障害の副作用は接種の痛みが惹起した心身の反応であるとする1月20日の審議結果を前提に、機能性身体症状に対する治療方法に関するプレゼンテーションが行われ、これを受けて、審議会は、「接種に当たり注意すべき事項」として、痛みが生じやすいワクチンであることを接種前に説明することなど4点を確認しました。
 
 しかし、発表に対する批判的コメントや倉根委員がいうような科学的根拠を求めるならば、審議会の「心身の反応」論もまた科学的根拠が乏しいというべきです。例えば、発生している副作用はアジュバントが原因であるとした発表について、対照群がない等と批判していますが、「心身の反応」論も、対照群を置いた比較研究で立証されたものではありません。のみならず、「心身の反応」論が、対照群を云々する以前の、きわめて非科学的な論法によって導かれたものであることは、当会議の2月24日付意見書(※3)で指摘したとおりです。反対説にのみ科学的に厳密な立証を求め、自らの「心身の反応」論には求めない審議会の姿勢は、きわめて恣意的で不公正というほかありません。

 わが国が経験した過去の薬害事件では、危険性を示す情報があるにもかかわらず、危険性の科学的な立証を要求することによって対応を遅らせ、副作用被害を拡大させるという失敗が繰り返されてきました。これらの失敗に学ぶならば、科学的に立証されていないとか、従来の知見と合致しないなどという理由で安易に危険性情報を排斥するのではなく、従来の知見では説明できない新たな事象が発生している可能性も含めた、あらゆる可能性を念頭に安全対策が行われるべきです。

 審議会では、接種に当たっての「注意事項」を確認していますが、その前提である「心身の反応」論のみならず、「注意事項」を遵守すれば被害が防げるということについての科学的根拠もまた示されていないのです。現実に被害が発生している以上、これを防げるという十分な根拠がないまま接種を再開すれば、再び同様の被害が発生しうると考えなければなりません。
 アジュバントなどワクチンの成分が副作用の原因である可能性はまだ十分残されています。今、医師・研究者や行政に求められているのは、科学的な謙虚さをもって、あらゆる可能性を否定せずに、副作用の原因を究明するとともに、HPVワクチンが定期接種にふさわしい安全性を備えているかどうかを確認することです。
 そのために、徹底的な副作用発生状況の把握と発生頻度を把握するための科学的な疫学調査を実施することなどが必要です。

 私たちは、あらためて、HPVワクチン接種の積極的勧奨の再開に反対します。