調査・検討対象

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チャンピックス

1 チャンピックスとは

一般名 バレニクリン酒石酸塩
商品名 チャンピックス
薬効分類 禁煙補助剤
適応 ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助
薬価収載 2008年4月
特徴 従来の禁煙補助剤(ニコチンパッチ、ニコチンガム)は、ニコチン置換療法剤であるが、本剤は、α4β2ニコチン受容体部分作動剤であり、新しい作用機序の内服剤である。

2 取り上げた経緯

  1. (1) 日米の有害事象の報告から
    本剤は、2006年5月に、米国で、「チャンティックス」の商品名で販売が開始されたが、米国FDAには、2006年5月から2007年12月までの間、227件の自殺行動や自殺念慮、397件の精神病の可能性、525件の攻撃性といった事例報告がされている。
    また、日本では、2008年5月の販売後、2008年10月31日までに、医療機関、薬局及び製薬企業から、「チャンピックスによる副作用が疑われる症例」として、異常行動、自殺既遂、自殺念慮などの精神障害が21件、意識消失、意識低下などの神経系障害が15件報告されている。
  2. (2) 日米の添付文書の相違に対する問題意識から
    米国の添付文書では、本剤使用中で喫煙を継続している患者でも、行動の変化、不安、抑うつ気分、自殺念慮、自殺行動を含む精神神経症状が出ていることを警告欄で指摘しているのに対し、日本の添付文書では、禁煙それ自体による精神神経症状の可能性を示唆し、しかも、警告欄には記載されていなかった。

3 何が問題か

  1. (1) 危険性と有効性
    上述のとおり、本剤には、重篤な有害事象が報告されており、使用による危険性は高い。
    他方、本剤の有効性は、有害事象の危険性と到底引き合うものではない。プラセボ(偽薬)でも20%以上の禁煙成功率が示されている一方、本剤を服用しても、持続禁煙率は、20%台から40%台に過ぎないことが臨床試験で示されている。
  2. (2) 日米の添付文書の内容に大きな相違がある
    米国では、2008年1月に添付文書が改訂され、チャンピックスによる治療を受けている患者には、重篤な精神神経症状が起こっており、これらの症状のいくつかは、喫煙を継続している患者でも起こっていることが、「警告」欄に記載されている。
    他方、日本では、2008年7月に添付文書が改訂されたが、「禁煙は治療の有無を問わず」様々な精神神経症状を伴う旨及び、「因果関係は明らかではないが」精神神経症状が報告されている旨が、「使用上の注意」欄に記載されている程度であった。その後、厚労省は、2009年8月7日、精神神経症状の「警告」欄への記載などの添付文書の改訂を指示したものの、精神神経症状が禁煙自体によっても起こりうることも強調するなど、警告として不十分であった。
    このように、日本の添付文書は、最近になり、精神神経症状について「警告」欄への掲載がなされるようになったものの、依然として、それがチャンピックスの副作用として生じるものか、禁煙それ自体により生じるものかが紛らわしい記載となっている。。

4 行動指針

  1. (1) 日本の添付文書の改訂を、関係各機関に提言する。
  2. (2) 本剤の危険性を踏まえ、リスク軽減の取り組みを、関係各機関に提言する。
  3. (3) 疫学研究の実施の提言。

5 具体的な行動と結果

  1. (1) 要望書提出
    2009年7月6日、厚生労働大臣及びファイザー株式会社(以下「ファイザー」)に対し、添付文書の改訂、リスク軽減の取り組み強化、及び適切な薬剤疫学調査の実施を求める要望書を提出した。
  2. (2) 添付文書改訂[不充分ながら警告欄記載]
    要望書提出後の2009年8月7日、厚労省は精神神経症状を「警告」欄に記載するなどの添付文書の改訂を指示した。
    しかし、改訂後の添付文書も、精神神経症状が禁煙自体によっても起こりうることを不当に強調するなど、警告として不十分であった。また、ファイザーからは「要望書に対する回答」を同年8月10日付で受領したが、上記添付文書の改訂以外の新たな対応は不要というものであった。
  3. (3) 再度の要望書提出
    そこで、2009年12月28日、厚生労働大臣及びファイザーに対し、①添付文書の更なる改訂を要望するとともに、②ファイザーに対して、「要望書に対する回答」の問題点を指摘した意見及び再要望書を提出した。
    これに対して、2010年3月4日付でファイザーから回答がなされたが、当会議が指摘した点について真正面から答えたものになっていなかった。

6 取り組みの問題点・今後の課題

こうしたわれわれの取り組みに反して、有名俳優が禁煙に挑戦すると銘打ってチャンピックスの実質的な広告・宣伝が行なわれた結果、生産量が追いつかないと報じられるほど、チャンピックスが爆発的に売れている。
このようにチャンピックスの危険性が充分に知られないまま安易に使用されている現状について、当会議としては薬害防止という観点から大いに危惧するところである。
今後も、この問題については、市民、医療現場に対して情報提供し、安全な使用を促していく所存である。