調査・検討対象

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正露丸副作用症例情報公開請求

1 情報公開請求に至る経過

厚生労働省は、2001年3月、正露丸の服用に伴う肝機能障害の副作用症例が3件報告されたことを理由に、正露丸の「使用上の注意」に、「まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診察を受けてください。」「肝機能障害:全身のだるさ、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)等があらわれる。」という記載を追加する改訂を行うこととしたとする「医薬品・医療用具等安全性情報」を発表した。
当会議は、2000年1月に「正露丸等クレオソート製剤の販売中止などを求める要望書」を提出しており、正露丸の安全性には疑問があると考えていることから、上記の安全性情報にも注目したが、厚生労働省に3件報告されたという副作用症例のうち、公表されたのは1例のみであった。
そこで、2001年4月13日、情報公開法に基づき、これら3報告症例の内容が記載された文書の公開を厚生労働省に対して請求した。

2 請求の結果とこれに対する異議申立て

本件情報公開請求に対し、同年5月10日、厚生労働大臣は、「患者の年齢、職業、症状及び処置等の経過等に関しては、特定の個人を識別することができる情報であり、また、担当医等の意見に関しては、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものであり、いずれも法第5条第1号に該当する」として、該当文書である「医薬品副作用・感染症症例票」のうち、「患者の年齢」、「職業」、「症状及び処置等の経過等」、「担当医等の意見」など、症例報告として意味のある部分の大部分を非開示(黒塗り)とする一部開示決定を行った。
しかし、このような開示の仕方では、どのような副作用の報告があったのかが全く分からない。そこで、同年7月13日、処分の取消しを求める異議申立てを行った。

3 情報公開審査会の答申

異議申立の審査では、情報公開法に基づき、学識経験者等で構成される「情報公開審査会」の諮問に付された。
情報公開審査会では、それまでに、別件の医療事故報告書の情報公開請求について、事故の日時や担当医氏名等を開示すべきとする答申を発しており、新聞等でも画期的判断として報道されていた。しかし、当該答申では、プライバシー保護を理由に患者の病状などに関わる部分は非開示とされたため、実際の開示文書では事故の具体的内容に関する部分は明らかとならず、開示部分から医療事故の再発防止のための分析を行うことは不可能となっていた。そこで、情報公開審査会における意見陳述に際しては、医療事故報告書に関する前記答申を前提としつつ、なお不十分であるとの立場から、本件においては、患者の症状や処置の内容等を明らかにしたとしても患者個人を特定することは不可能であり、プライバシーを侵すおそれはないことを強調し、それら症例の内容に関する部分についても開示すべきであると主張した。 その結果、情報公開審査会は、2002年4月12日、厚生労働大臣に対し、黒塗りとした部分のほとんどを開示すべきであるとする答申(http://www8.cao.go.jp/jyouhou/tousin/003-h14/008.pdf)を提出した。
そして、厚生労働大臣は、同年5月30日、情報公開審査会の答申に従い、当初の開示決定を変更する決定を発した。

4 答申の意義

薬事法は、製薬会社等に対し、承認を受けた医薬品の副作用と疑われる症例について厚生労働省に報告することを義務づけているため、厚生労働省には多くの副作用症例報告が蓄積されていると考えられる。これらの症例報告は、薬の安全性を検討する上で、きわめて貴重なデータである。
ところが、これら症例報告の分析・評価は全て厚生労働省が行い、厚生労働省が自ら公表した場合を除いて、一般市民が報告内容を知ることはできなかった。しかし、これまでの数多くの薬害事件の経験からも明らかなように、厚生労働省の薬の安全性に関する分析・評価能力には限界がある。国民の安全確保に万全を期すためには、集積された副作用症例報告を公開し、民間の研究者等もその分析・評価を行うことができるようにすることが必要である。
本件答申は、およそ全ての症例報告を公開すべきとまでは述べておらず、なおこれを発展させる必要はあるが、厚生労働省に対する症例報告を民間研究者等が分析・評価する道を開くものとして、画期的であると言える。

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