調査・検討対象

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インフルエンザ予防接種

1 インフルエンザ予防接種とは

一般名 インフルエンザHAワクチン
有効成分 A型株
A/ニューカレドニア/20/99 (H1N1)、 A/パナマ/2007/99 (H3N2)
B型株
B/山東/7/97
ただし、インフルエンザワクチンは流行予想株に合わせて、有効成分が適宜改訂されており、一定していない。
添加物 保存剤
チメロサール(:有機水銀系防腐剤)
緩衝剤
リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物
またはリン酸二水素カリウム
等張化剤
塩化ナトリウム
安定剤
ホルマリンを含むものがある
商品名及び企業名 ビケンHA
製造:阪大微生物病研究会/販売:田辺製薬
インフルエンザHAワクチン"化血研"
化学及血清療法研究所 製造・販売
インフルエンザHAワクチン「北研」
製造:北里研究所/販売:第一製薬
インフルエンザHAワクチン「生研」
デンカ生研 製造・販売
効能又は効果 インフルエンザの予防
承認・販売開始 1972年9月

2 取り上げた経緯

1994年:インフルエンザワクチンの学童への集団接種については、流行阻止効果が認められず、一方、副作用による被害に関しては相次いで国の過失責任が認められ、予防接種法の対象外となった。
2001年10月末:予防接種法の一部改正に関連して、65歳以上の高齢者へのインフルエンザワクチン接種へ補助金が出されるようになる。しかしながら高齢者へのインフルエンザワクチンの効果について、厳密な研究で証明されているわけではなく、このようなワクチンへの補助金支出は容認できないとする意見がパースンのメンバー内にあった。
さらに、この改正に伴い、インフルエンザワクチンの接種が小児へも奨励されるべきかのような誤解を与えている。実際のワクチン接種の現場、つまり診療所などでは、高齢者が家族ぐるみでの接種を希望するという事態も起きている。
2001年11月:小児の予防接種に関して、有機水銀系防腐剤チメロサールが保存剤として添加されており、これが海外で問題化していることが報告される。米国ではチメロサールが自閉症や注意欠陥多動性障害の原因ではないかと疑われ、2ヶ所において集団訴訟が起きている。
添付文書にはそのことは全く記載されておらず、接種をする現場の医師への情報提供はほとんど行われていなかった。そこでインフルエンザワクチンの小児への有効性の検討も含め、緊急に意見をまとめるべく、11月25日に検討班が発足した。

3 何が問題か

  1. (1) 有効性
    小児へのインフルエンザワクチンの有効性については、政府の答弁(2001年10月19日、厚生労働委員会)でも明らかなように研究段階であって、効果が証明されていない。パースン会議が入手した厚生科学研究(新興・再興感染症研究事業)報告書「乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果に関する研究(12101201)」を見ても、「ワクチン効果による臨床症状との関連について明らかにすることは出来なかった」としている。
    また最も厳密な比較試験 (Govaert 1994) によれば、高齢者に関してもインフルエンザによる死亡率を下げるという証拠は存在していない。
  2. (2) 安全性
    さらに前出報告書を分析すると、ワクチンは発熱などを高める傾向があり、多数の副作用が出現していることを示している。
    また保存剤チメロサールに関してであるが、インフルエンザワクチンは麻疹や三種混合ワクチンなどと違って毎年接種する可能性があり、繰り返し有機水銀に暴露される危険性がある。有効性の確認されていないワクチンにより、脳神経系の発達途上にある小児に水銀暴露が繰り返される危険性は是非とも避けるべきである。

以上より、乳幼児に関して接種の根拠は存在しないと言わざるをえない。

4 基本的行動方針

小児に関しては有効性が証明されておらず、安全性の点でも大きな問題があることから、

  1. (1) 厚生労働省に対し、小児へのインフルエンザワクチン接種に対する関係者への注意説明について、緊急要望書を提出する。
  2. (2) 学校保健に責任を持つ立場にある文部科学省に対して、厚生労働省宛て緊急要望書を提出したことを知らせる。
  3. (3) その他、日本小児科学会等、小児の健康増進に責任を持つ立場にある学会等に情報を提供し意見を求める。

5 具体的行動と結果

  1. (1) 2001年12月26日、厚生労働省へ緊急要望書提出。回答なし。
  2. (2) 2002年2月13日、文部科学省、学会、関連団体へ緊急要望書提出の情報提供。
  3. (3) 2002年3月29日、日本小児科学会から回答受信。「乳幼児・学童へのインフルエンザワクチンの接種はハイリスク者に限り接種を推進したい。」
  4. (4) 2002年4月24日、日本小児アレルギー学会から回答受信。「本件に関しては上部機関の日本小児科学会に委ねる。」
  5. (5) 2002年7月3日、日本小児科学会へ再質問書送付。「ハイリスク者に限り接種を推進したい」旨の根拠の提示を求める。
  6. (6) 同日、日本医師会、全国保険医団体連合会へも情報提供。緊急要望書のコピー送付。
  7. (7) 2006年2月5日、インフルエンザ対策についてシンポジウムを開催し、ワクチンの有効性が証明されていないことなど改めて問題点を明らかにした。
  8. (8) 2007年12月26日ポスターを作成、インフルエンザワクチンの接種やタミフルの服用を控えるように呼びかける活動に取り組んだ。

6 今後の課題

2002年9月の医薬品・医療用具等安全性情報No.181によれば、インフルエンザHAワクチン接種によると思われるギラン・バレー症候群が3例報告され、その内の2例は小児である。これに合わせて各社も2002年8月に効能書きの改訂を行っている。小児への接種の危険性は彼らも承知のことなのであり、今後、接種拡大が行われないよう厳しい監視を行っていくことが問われている。その意味で日本消費者連盟等、関係諸団体との連携推進も必要である。

トピックス

  • 薬害オンブズパースン会議
  • タイアップグループ
2001-12-26
「小児へのインフルエンザワクチン接種に対する関係者への注意説明について」提出