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2月5日、弘済会館(四谷)において、薬害オンブズパースン・タイアップブループ総会企画として、シンポジウム「インフルエンザ対策の大まちがい タミフル、ワクチンはあなたを守らない!」が開催された。シンポジストは、母里啓子氏(元国立公衆衛生院疫学部感染症室長)、浜六郎氏(NPOJIP理事長、薬害オンブズパースン)、谷田憲俊氏(山口大学医学部医療環境学教授)、山本英彦氏(大阪赤十字病院医師)、古賀真子氏(日本消費者連盟事務局員)、野田邦子氏(薬剤師、薬害オンブズパースン)の6氏。当日は、100名収容の会場が満席となって、急遽追加したパイプ椅子で壁際まで人が埋め尽くすほどの盛況となり、この問題に対する関心の高さが窺われた。
 基調報告では、まず、インフルエンザワクチンの無効性を立証した前橋医師会の報告書(前橋リポート)の作成にも関与された母里氏が、さまざまなデータを基に、インフルエンザワクチンには効果がないことを説明された。続いて、浜氏が、「インフルエンザ脳症」などと呼ばれ、インフルエンザの危険性を強調するために援用されている脳症が、インフルエンザが原因ではなく一部の解熱剤の副作用であると考えられることや、タミフルの副作用症例などについて報告された。
 後半のシンポジウムでは、冒頭に各シンポジすとによる短い報告がなされた。山本氏は、インフルエンザワクチンの効果に関する海外文献などについて報告された。古賀氏は、「インフルエンザワクチン需要検討会」を継続的に傍聴してきた経験などをふまえ、一時は30万本まで激減したインフルエンザワクチンの製造量が、産官学一体となった運動戦略によって2100万本まで回復した「舞台裏」を明らかにされた。谷田氏からは、鳥インフルエンザ問題についての解説があった。鳥インフルエンザ問題については、これまで、その危険性を喧伝するマスコミ報道にしか接する機会がなかったが、谷田氏のお話で、鳥インフルエンザについても、科学的なデータが歪めて伝えられ、危険性を過度に煽る情報が流されていることがわかり、「やはり」という思いがした。さらに、野田氏は、インフルエンザの危険性とワクチンやタミフルの有効性を強調する報道が医療現場にもたらしている問題点について報告された。
会場との質疑応答では、インフルエンザワクチンの有効性等について問題意識を持った医師等の医療専門家の発言が目立ち、シンポジストとの間で熱のこもった議論が展開された。
 ワクチンの効果。タミフルの有効性と危険性。インフルエンザの危険性。こういったあらゆる情報が、医薬品(ワクチン、タミフル)の使用を促すよう、科学的に歪められて伝えられている。今回のシンポジウムでは、盛り沢山な内容によって、これらインフルエンザを巡る問題点の全体像を明らかにすることができたと考えるが、予備知識の全くない参加者にとってはやや難解な内容となってしまったと思われることが反省点といえよう。 

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