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Covid-19ワクチンの開発には安全装置 (safeguards) が必要

2020-10-06

(キーワード)新型コロナウイルス、Covid-19ワクチン、緊急使用許可(EUA)、抗体依存性感染増強、早期承認


 新型コロナウイルス感染症(Covid-19)ワクチンへの過大な期待から、国内・国外ともに猛スピードでワクチン開発が進んでいる。WHOのパンデミック宣言から半年足らずで第形蟷邯海謀達しているものもある。ワクチン開発は通常5〜10年かかると言われ、少なくとも2〜3年程度かけ、効果の持続期間や安全性を調べる。しかしCovid-19ワクチンの場合、緊急的に数か月で判断するため、評価が不十分となる可能性が極めて高い。特に今回開発が先行するのはウイルスの遺伝情報を使った新技術で、医療現場での実績がなく、実用化できるかどうかさえわかっていない。国内では、接種を前提にした議論が進んでいるが、安全性と有効性を慎重に見極めて接種の是非を判断すべきである。以下は元FDA副主席委員長Sharfstein博士らの論説(※1)の概要である。

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 ワクチン開発は前例のないスピードで進んでいる。候補ワクチンは200を超え、数十億ドルが投入され、多くの場合、特定のワクチン候補が成功するかどうかさえわからずに製造準備が進んでいる。これまでに、米国連邦政府は5つのワクチン候補についてOperation Warp Speed と名付けた猛スピードのワクチン開発作戦を推進している。しかし、1056人に対する世論調査では、安全性への危惧が最大の関心で、Covid-19ワクチンの接種を予定しているのは49%のみで、31%は不確か、20%は接種しないと答えた。

 このような懸念に対する最善の対応は、米国食品医薬品局(FDA)によるワクチン開発および規制への透明で厳密なアプローチである。この取り組みを成功させるには、規制当局の独立性が尊重され、基準が維持され、政治家の干渉から遠ざけられていることが重要である。最良の意思決定を確実にし、国民の信頼を高めるために、規制当局はCOVID-19ワクチン開発に必要な以下の4つの安全装置について透明性を持たなければならない。

1)有効性に関する強いエビデンス

 現在、有効性を証明する最良の方法は、大規模な比較臨床試験によるもので、少なくとも3つのワクチン候補について数千人規模の研究が開始されている。これらの研究が感染進行地域で行われる場合、数か月以内にワクチンの有効性を判断することが可能となる。重要なのは、健康な人だけでなく、高齢者や慢性疾患のある人、重篤な疾患や死亡のリスクが高い集団を含む人種的に多様な集団における有効性を研究することである。また、特定の抗体が防御を予測するという証拠は不十分であり、抗体レベルなどの代用エンドポイントに基づく加速承認をするべきではない。

2)安全性に関する強いエビデンス

 ワクチンは治療薬とは異なり、非常に多くの健康な個人に投与されるため、特に安全でなければならない。米国でのフェーズ3の重要なワクチンの安全性と有効性の試験は、通常、少なくとも数千人の参加者を登録し、極めて高いレベルの安全性が確認されなければならない。 FDAは、COVID-19ワクチンのより広範な使用を許可する前に、どのような安全性情報をどのように分析するのかについて説明する必要がある。

 臨床試験での安全性が確立された直後に、医療従事者、妊婦とともに、感染症に関連した多系統炎症症候群を発症する危険性のある幼い子供も含む試験をすべきである。さらに、規制当局は日常の安全分析に加え、コロナウイルスに対する他のワクチンの動物実験で認められた、抗体依存性感染増強の発生リスクにも対応しなければならない。

3)正式承認前の使用に際してのインフォームドコンセントの徹底

 FDAは、コンパッショネート・ユース(未承認薬を希少疾患や重病患者の治療のために使用することを認める制度)や緊急使用許可(EUA)など、正式な承認前にCOVID-19ワクチンを利用できるようにするためのいくつかのオプションを用意している。しかしその場合規制当局や政府は、公衆、臨床医、医療機関、およびワクチン接種者に明確かつ正確に情報を伝達しなければならない。 その情報には、いまだ承認されたワクチンが無いこと、なぜいまだ承認されていないか、ワクチンの安全性と有効性についてわかっていることとわかっていないことについての一貫した包括的で理解可能なメッセージを含める必要がある。

4)包括的な安全監視システム

 一部のワクチン関連の重篤な有害事象は、承認前の臨床試験で検出されない場合がある。このようなまれなイベントが予期せぬものであっても、確実に迅速に検出、報告、対処されるようにするためには、広範囲のほぼリアルタイムのモニタリングが重要になる。さらに、ワクチンは短時間で広く投与されるため、偶然であっても、投与後に懸念を引き起こすイベントが発生する。この可能性とFDAがどのように対応するかについて事前に連絡することで、監視と監視の価値に対する一般の理解を深めることができる。

 電子情報システムの発達が進んでおり、市民にそれらの使用を説明することは、FDA、CDCおよび関係機関が新しいCovid-19ワクチンの安全性を迅速に監視、分析、伝達するのに役立つだろう。

 米国およびその他の国がCOVID-19ワクチンの開発をめぐって競争している。市民の信頼を保ちながらCovid-19ワクチンを開発するためにこれらの安全装置が果たす役割は大きい。

 COVID-19については、わかっていないことが多すぎる。そもそも、ヒトコロナウイルスは呼吸器ウイルスであり、感染時ほとんど血中に侵入せず、免疫反応の影響を受けにくいため、ワクチンを接種しても終生免疫は得られないとされている。ワクチン開発に大きな期待が寄せられていると報道されているが、ワクチンで抗体が産生されても、持続期間は数か月と短いうえに、その有効性には限界がある。遺伝子技術による新技術で作られ、さらに安全性が未知のアジュバントが使用されている可能性もある。今のところ安全性についての懸念が払拭されたCOVID-19ワクチン候補はなく、仮に早期に承認されたとしても、特に安全性に関する情報は、すべてを明らかにすることが重要である。その上で、医療従事者も含めた一人ひとりがワクチン接種するかどうか適切に自己決定できるようにしなければならない。(G.M)