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HPVワクチンの有害事象は過小評価され無視されている

2020-04-20

(キーワード)HPVワクチン 安全性監視 被害の過小評価 予防原則

 Manuel Martinez-Lavin1)博士らは、HPVワクチンの深刻な有害事象シグナルの存在を論文で指摘してきた。今回は同氏の2019年7月のBMJに掲載された記事(Letter)の要旨を紹介する。
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 HPVワクチンの深刻な有害事象のシグナルは大規模無作為臨床試験において既に示されているが、そのシグナルは過小評価され、無視されている。

 2価のHPVワクチンを接種した女性2881名と、アルミニウム入りのプラセボを接種した女性2871名を4年間観察した結果、死亡は、ワクチン群で14名であるのに対し、プラセボ群では3名と、ワクチン接種群で有意に多かった。しかし、ワクチン接種と死亡との因果関係はないと評価された。

 コクランのメタアナリシスでは、HPVワクチンを接種した25歳から45歳の女性で死亡率が高いことが確認されている。

 9価のHPVワクチン(ウイルス様粒子とアルミニウムアジュバントの量がいずれも4価の2倍以上ある)に関する、14149人の大規模試験では、9価のHPVワクチンによる全身性の重篤な副反応は3.3%も起きており、4価(2.6%)と比較して有意に高い (P=0.01) ことが示されている。しかし、この研究論文の著者も、この重要な統計学的有意差を無視している。

 HPVワクチンによる神経疼痛や自律神経障害は、地域や環境、時を違え、多くの臨床医により報告されている。

 Chandlerは、報告される自律神経障害症状の非特異性から生じるHPVワクチンの安全性監視の難しさを論じているが、同氏も指摘するように、世界最大の薬剤有害事象データベース(Vigi Base)には、HPVワクチン接種後症状として、臨床医による個別報告と類似の自律神経障害が、症状クラスターとして報告されている。

 これらを踏まえて予防原則をとるべきであろう。
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 この記事の指摘は、日本のHPVワクチンを取り巻く現状にも当てはまる。
2020年4月15日、厚生労働省は、9価のHPVワクチン(シルガード9)を審議会の審議に付することを公表した。しかも、新型コロナウイルス対策のため、Web会議と電子メールを用いた、所属委員のみでの持ち回りによる審議を予定しているというのである。

 これに対し、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団・全国弁護団は、厚生労働省に対し、「9価HPVワクチン(シルガード9)の承認審査に関する意見書」を提出し、その危険性に鑑み、9価ワクチンの承認をしないよう求めた。また、PMDAにおける審査に5年を要した本剤を、なぜ新型コロナウイルス問題によって緊急事態宣言が出されている最中に、薬事食品衛生審議会の審議に付さなければならないのか、緊急性や合理的理由を見いだすことができないと指摘している。

 この意見書に添付された別紙2によると、HPVワクチンの医薬品副作用被害救済制度及び予防接種法被害救済制度における障害・死亡認定状況は、100万人接種あたりの認定者数で比較すると、主要な定期接種ワクチンの約15倍である。

 しかし、これらのデータが示しているHPVワクチンの危険性が、まともに取り扱われているとは言い難い。

 薬害とは何かと問われた時、医薬品の有害事象のシグナルが軽視され、無視され、あるいは意図的に歪曲され、隠蔽されたことにより起こる人災であると言うことができる。HPVワクチンにおいては、それが典型的に示されている。過去の薬害の教訓が活かされなければならない。     
                                          
参考
1) HPV vaccine: adverse event signals were minimised or ignored, BMJ 2019; 366 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.l4508 (Published 05 July 2019) Cite this as: BMJ 2019;366:l4508, Manuel Martínez-Lavín, chief

2)Serious adverse events after HPV vaccination: a critical review of randomized trials and post-marketing case series, Clin Rheumatol. 2017 Oct;36(10):2169-2178. doi: 10.1007/s10067-017-3768-5. Epub 2017 Jul 20, Martínez-Lavín M1,2, Amezcua-Guerra L3 

3) A 9-Valent HPV Vaccine against Infection and Intraepithelial Neoplasia in Women, (Table4) N Engl J Med 2015; 372:711-723 DOI: 10.1056/NEJMoa1405044, Elmar A. Joura, M.D., Anna R. Giuliano etal