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痛風治療剤フェブキソスタット(商品名フェブリク)はアロプリノール(ザイロリックなど)に比較し、心血管リスクの高い患者で全死亡と心血管死が有意に多い

2019-01-15

 痛風とは、血液の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続き、体の中にたまった尿酸が結晶になって激しい関節炎を伴う症状を引き起こす病気である。我が国では、血清尿酸値の上昇は、痛風や腎障害、心血管系リスクにつながるとして、高尿酸血症の病名のもとに、尿酸低下剤による治療が積極的に行われている。しかし、これらの病状と尿酸値との関連性におけるエビデンスは不十分であり(※1)、米国では、無症候性高尿酸血症は治療対象とされていない。
  
 今回取り上げるフェブキソスタットとアロプリノールはいずれも体内での尿酸合成を抑制して血清尿酸値を低下させる。

 アロプリノールは1960年代に開発され、長年、唯一の尿酸合成抑制剤として使用されてきた。フェブキソスタットは、新たな尿酸産生抑制剤として帝人ファーマ株式会社によって開発され、日本では2011年1月に同社が製造承認を取得した。

 米国FDAは、2009年、フェブキソスタット承認時に、第形衫彎音邯海砲いて心血管系イベント数が多い傾向が示唆されたため、アロプリノールとの安全性非劣性比較試験の実施を求めていた。この比較試験CARESの成績が米国心臓病学会にて報告され、NEJM誌に掲載されたので要旨を紹介する(※2)。
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 心血管系疾患を合併する痛風患者6,190名を対象に、尿酸合成阻害剤フェブキソスタットの心血管系リスクを評価するために、アロプリノールに対する多施設二重目隠し非劣性比較試験を実施した。

 心、脳、または末梢血管系疾患を合併する痛風患者6,190名を、フェブキソスタット群またはアロプリノール群にランダムに割り付け、血清尿酸値6.0mg/ml未満を目標に治療を行い、32カ月間追跡した。

 全例を組み入れた解析(修正ITT解析)の結果、主要評価項目である、心血管死・心筋梗塞・脳卒中・緊急冠血行再建術施行例を複合した、総発生率は両群間に差はなかった(フェブキソスタット群10.8%、アロプリノール群10.4%、ハザード比1.03、p値0.66)。しかし、個別の評価項目では、心血管死、および全死亡のリスクがフェブキソスタット群で有意に高かった(心血管死:フェブキソスタット群4.3%、アロプリノール群3.2%、ハザード比1.34、p値0.03。全死亡:フェブキソスタット群7.8%、アロプリノール群6.4%、ハザード比1.22、p値0.04)。心血管死の中では突然の心臓死が多かった。

 治療および試験の中断患者が多かったため(治療中断56.6%、追跡中止45.0%、両群間の差なし)、服薬中および服薬中止後30日以内の患者を対象に解析した結果、修正ITT解析と同様に、主要評価項目の発生率は両者で同等であったが、心血管死と全死亡に関するリスクは、フェブキソスタット群がアロプリノール群より有意に高かった。

 ちなみに、血清尿酸値が6mg/ml未満を維持した患者の比率はほとんどの時点でフェブキソスタットの方が高かったが両群間に有意な差はなかった。また、痛風発作の比率も両群間に差はなかった。なお、この試験は米国武田開発センターの援助を受けている。
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 米国FDAは承認前臨床試験結果を踏まえ、フェブキソスタットの商品情報に心血管事象に関する「警告および使用上の注意」を表記している(※1)が、この試験の予備解析結果を受け、フェブキソスタットに関する医薬品安全性情報(※3)を発信し、医師および患者にさらに注意を促している。欧州EMAは、製品概要に心血管系リスクに関する表記を指示し、更なる研究を要求した(※4)。他方、我が国においては、承認時の審議において心血管系リスクを問題にしながらも、市販後3年間、3,000例の特定使用成績調査によるデータ取得にて検討する(※4)とし、添付文書には心血管系リスクに関する情報は何ら記載されていない。(N.M)

参考文献:
(※1)国立医薬品食品衛生研究所NIHS 医薬品安全性情報 Vol.16 No.03(2018/02/08)
(※2)NEJM誌2018年3月29日号 William B. White, M.D.et.al;‘Cardiovascular Safety of Febuxostator Allopurinol in Patients with Gout’,N Engl J Med 2018;378:1200-10.
(※3)https://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM584803.pdf
(※4)フェブキソスタット承認審査報告書(2010年11月8日)

関連資料・リンク等