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妊娠中はNSAIDs (非ステロイド性抗炎症剤) を用いてはならない (プレスクリール誌)

2017-09-21

(キーワード: 妊娠時の医薬品処方、NSAIDs (非ステロイド性抗炎症剤)、胎児曝露)
 
 NSAIDs (エヌセイズ: 非ステロイド性抗炎症剤)は、生理痛・頭痛・腰痛などに広く用いられている薬剤で、セレコックス、ロキソニン、ボルタレン(以上医療用)、ロキソニンS、イブA、ナロン(以上一般用)など多くの製品がある。

 フランスの独立医薬品情報誌プレスクリールが「妊娠中はNSAIDsを用いてはならない」との強いメッセージを掲載しているので、要旨を紹介する。
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 フランスの保険医療データによると、年5,000人〜6,000人の女性が妊娠6か月間にNSAIDs(非ステロイド性抗炎症剤)を処方されている。この数字は患者が市販薬(一般用医薬品)を購入した場合を含まない。

 NSAIDsは妊娠第1三半期(妊娠14週未満)に自然流産のリスクを増加させる。また、先天性心臓障害をもたらすことが疑われている。妊娠の第2〜第3三半期(妊娠14-42週)においては、NSAIDsは時々新生児の不可逆性致死性心不全、動脈管の未熟性閉鎖、持続性肺高血圧を引き起こす。NSAIDsはまた妊娠した女性と母体内の小児(胎児)に出血を引き起こす。

 これらの曝露(生体が化学物質にさらされること)は医療専門家がその危険を伝え、単純なしかし強いメッセージ「妊娠中はNSAIDsを使用しない」を繰り返すことで多分減じることができる。
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 妊娠時に女性が用いた医薬品による胎児障害のリスク分類(胎児危険度分類: Pregnancy Category)としてよく知られているのが、オーストラリアの専門家たちによってつくられたADEC胎児危険度分類である。最も安全と考えられるカテゴリーAから、リスクの順位でB1、B2、B3、C、D、それに最もリスクが高く事実上の禁忌薬剤であるカテゴリーXに至る6分類がされている。ちなみにNSAIDsのセレコックス(セレコキシブ)はカテゴリーB3(動物実験では胎児障害増加が確認されているが、臨床的なその重要性は不明)、インダシン(インドメタシン)はカテゴリ―C(胎児や新生児に可逆的な障害を与えるか、与える可能性がある)である。なお。ロキソニン(ロキシプロフェン)は欧米豪には製品がない。

 日本の添付文書では、セレコックス、ロキソニンでは「妊娠末期が禁忌」、それ以外の時期は「安全性は確立していない。治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与」、ボルタレンでは「妊婦または妊娠している可能性」がある女性はすべて禁忌となっている。一般用のロキソニンS、イブAは「出産予定日12週以内」は服用しないこと、「妊婦または妊娠していると思われる人」は医師・薬剤師(イブでは登録販売者を含む)に相談することとなっており、警告はゆるやかである。

 なお、鎮痛解熱の目的にNSAIDsの代替薬として広く用い得るアセトアミノフェン(医療用: カロナールなど、一般用: タイレノールなど)は、オーストラリア胎児危険度分類でもカテゴリーAに分類されている安全性の高い薬剤である。妊娠初期は妊娠しているかわからない場合もあり推奨される。(T)