注目情報

  1. ホーム
  2. 注目情報

パブメド(PubMed)の抄録に利益相反情報の記載が急がれる

2016-09-01

キーワード:利益相反開示、パブメド(PubMed)、情報公開、米国国立医学図書館

 世界で最も利用されている生物・医学学術文献検索サイトパブメド(PubMed)は、米国衛生研究所(NIH)の一部門である米国国立医学図書館の生物医学文献ライブラリのオンライン・データベースであり、2500万を超える生命科学、行動科学、化学の科学、およびバイオエンジニアリングを含む生物医学と健康の分野の学術雑誌などからの引用を自由なオンラインアクセスで提供している。

米国の科学者・医師グループ、5人の上院議員が、米国国立医学図書館に対し、学術雑誌などに対し著者の利益相反情報を要求したうえでパブメドの抄録に記載するよう求めた。

 その手紙の内容がBMJ電子版(2016年4月7日)に記載されているので紹介する。

-------------------------------------------------------------------------------------

62人の研究者と医療のプロバイダー、および6つの擁護団体は、国立衛生研究所(NIH)の所長である、フランシスSコリンズ、および副所長であるベッツィLハンフリーズへの3月30日の手紙の中で、

・「抄録に著者達の利益相反情報が含まれることによって、研究結果の信頼性の評価がしやすくなります。」

・(主要な学術雑誌は利益相反情報をルーチンで提供しているので)「利益相反情報を抄録に追加するのは完全に実現可能であろうし、PubMedを使う研究者、開業医、および一般的な読者に大きな価値をもたらすでしょう」

と書き、企業が出資した研究に関する報告については、出資者が得る利益をわかりやすくするために、利益相反情報が抄録の中に必要であると主張した。

また、5人の民主党上院議員は、同じくコリンズ所長とハンフリーズ副所長に送られた別の手紙の中で、以下の様に書いている。

・「消費者、ジャーナリスト、および政策立案者を含む多くのPubMedユーザーは記事のフルテキストにアクセスできなかった。」

・「従って、フルテキストにのみに公開されている著者の資金源や重要な投資などの利益相反情報がPubMedの抄録から伝達されないことはPubMedの欠陥です。」

・「学術雑誌のための主要なオンライン・データベースとして、また、税金によって賄われている公的資源として、PubMedは、科学的研究の改善において重要な進歩をするめったにないチャンスと責任を持っています」

-------------------------------------------------------------------------------------

利益相反問題は当会議が最も力を入れている主要なテーマである。利益相反は全ての学術研究において望ましくないことだが、産学連携による医学研究においてはほとんどの研究が利益相反状態になるため、利益相反はマネージメントされていれば良いこととされている。マネージメントの基本は透明性と公明性であり、学術論文や研究発表、さらには公的な国への諮問委委員会などでも利益相反状態の開示が求められている。海外の主要な学術雑誌も利益相反情報の明示を論文内に求めているが抄録にはその情報は無い。

PubMedにアクセスするだけで著者の利益相反状態が明確になることを早く実現させてほしいものである。(G.M)

関連資料・リンク等