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N=1試験のはじめてのシステマティック(系統的)レビューが出版される

2012-10-04

(キーワード:N=1試験、ランダム化比較試験)
N=1試験(N-of-1 trial)は、EBMの創始者のひとりであるカナダのD. サケットやG. ガイアットも注目している研究デザインである。英国のEBMオックスフォードセンターが公開しているエビデンス・レベル表では、「ランダム化比較試験またはN=1臨床試験のシステマティックレビュー」を治療介入におけるレベル1(最高レベル)のエビデンスと位置づけている。
 N=1試験では1人の患者に複数の治療法を試し、その効果を比較する。たとえば、ある治療法とプラセボなどの対照治療を一人の患者にランダムな順番で繰り返し、効果を比較することで、ある治療法がその患者にとって有効かどうかを確認する。この方法では、一方の治療法の効果が消失してからもう一方の治療法を行う必要があるため、効果がある程度早期に現れ、しかも比較的早く効果が消失するような治療、たとえば鎮痛剤などの評価に適している。
一方、高血圧や高脂血症に対する薬の長期的効果(たとえば5年後、10年後における心血管疾患の予防など)の検証のためには、従来からランダム化比較試験が行われてきた。ランダム化比較試験では、対象とした患者集団での平均的な効果を確認することができ、その結果から、対象集団と同じ様な特徴を持つ患者での効果を類推することは可能であるが、一人ひとりの患者全員に集団と同じ効果が現れるとは限らない。一方N=1試験は、対象となった患者本人の結果が得られ、その患者にとっては最も確実なエビデンスとなることから、ランダム化比較試験とともに最高レベルのエビデンスを提供する研究デザインとして位置づけられている。
 さて、このN=1臨床試験の初めてのシステマティックレビューが発表された。(※1)
以下,紹介する。
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この研究では、1985年から2010年12月までに発表されたN=1試験661件の中から、ランダム化を行っていない試験などを除外した結果、2154症例、108試験が最終的なレビュー対象試験として抽出された。108試験を著者の国別で分類すると、カナダ35%、欧州26%、米国22%であった。また対象疾患別では、精神神経疾患36%、筋骨格系疾患21%、肺疾患13%であった。98%の試験ではランダム化だけでなく治療法のマスキング(医師や患者にどちらの治療法を行っているかをわからないようにすること)も行っていた。本研究の著者らは、仝鎚名瀕磴亮N屠,粒領にあたり、N=1試験は有力な手段となる、▲薀鵐瀬牴夙羈啝邯海里燭瓩CONSORT声明のような、標準化された研究報告様式がN=1試験にも適用されることで、N=1試験のメタアナリシスが促進され、より確実な結果を得ることができる、治療の長期的効果におけるN=1試験の活用については、更なる研究が必要である、と結論づけている。(Y)

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※1  Med Care 2011; 49: 761-768.

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