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タミフルにより突然型死亡のリスクが有意に高くなるとの疫学的研究報告:因果関係の詳細な調査の必要性を指摘

2012-08-23

キーワード:タミフル、新型インフルエンザ、突然死、疫学的研究、相対死亡率研究

 2009年5月以降、「新型インフルエンザ(A/H1N1)」が世界的に流行し、わが国でも連日大々的に報道されて大きな社会問題となったことは、記憶に新しいことである。この流行による医療機関外来患者数(推計)は、わが国では2009〜2010年の流行では約2,077万人、2010〜2011年の流行では約962万人(但し、A香港型、B型も混在)と報告されている。この大流行は、2010年8月にWHO(世界保健機関)が事実上の終熄宣言を出し、日本においても、2011年度末をもって、法律上の「新型インフルエンザ」と認められなくなったと公表された(※1)。
この新型インフルエンザの発生については、厚生労働省が医療機関からの発生報告を受け、その都度同省のHPにて公表してきた。この報告の中には、2009年8月15日から2010年3月13日の間に、198人が感染後に死亡した事実が掲載されている(※2)。
浜六郎医師らの研究グループは、この198人の死亡者中、医療機関受診までには重症でなかった162人を対象に、疫学的な研究を行い、「医薬品のリスクと安全性に関する国際雑誌」(2011年発行)にその論文が掲載された。以下はその概要である。
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 解析に用いた情報は、厚生労働省が公表したプレスリリース情報だが、この情報は、患者を診察した医師が一定の様式で報告し、所轄の保健所、自治体が補足して厚生労働省に報告しており、信頼性の高い解析が可能となった。この情報をもとに、相対死亡率研究proportional mortality study の手法で解析した。新型インフルエンザ推定患者数のうち、抗インフルエンザ薬の処方は、タミフル1000万人、リレンザ700万人と推定。これらの医薬品の処方後に死亡した患者数は、タミフルが119人、そのうち、処方後38人が12時間以内に重篤化したが、リレンザ処方後に死亡した15人では12時間以内の重篤化例はなかった。突然型死亡のリスク指標(オッズ比)は5.88で、タミフルの方がリレンザよりも約6倍高く、明らかに有意な差が見られた。基礎疾患等の危険因子などの背景因子には、リレンザが10代に多く処方されたという年齢の違い以外は、統計学的な差は認められなかった。これらのデータは、タミフル使用が、特に使用後12時間以内に突然型死亡を誘発する可能性を示している。
                                           

 新型インフルエンザ患者の死亡については、浜医師は、2009年10月27日に長妻厚生労働大臣宛に、タミフル服用と突然死等との因果関係を認め、必要な警告を行い、被害者を救済すること等12項目の要望を行った(※3)。しかし、厚生労働省は2009年11月2日付けで、突然死等については、「特段の対応は不要」などとHPに記載している。
浜らは、今回の研究結果を受けて、厚生労働省にタミフル使用中止を申し入れ(※4)、その内容は共同通信、読売新聞等が報道した(※5)。これらの浜らの論文は、疫学的な研究としては初めての「一定のエビデンス」と言える ※6。厚生労働省は、この研究結果を受けて、因果関係の詳細な調査を行い、その結果に基づいて適切な対策を取るべきであろう。
なお、当会議の片平洌彦副代表は、2009年11月23日の「新医協 薬学領域部会」において、浜の上記論文と同様の情報源、及びそれ以前の季節性インフルエンザ患者に対するタミフルの副作用報告を検討した結果、「インフルエンザの症状は改善し解熱、または『脳症を示唆する症状がない』のに、その後突然死した人6人の事例」を示し、浜の主張を支持する報告をした。(K.K)
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出典 Hama R ,Jones M, Okushima H, Kitao M, Noda N, Hayashi K, Sakaguchi K.:
International Journal of Risk & Safety in Medicine 23(2011)201-215.(http://iospress.metapress.com/content/5257410g24403m68/fulltext.pdf)
日本語全訳 http://www.npojip.org/sokuho/no151-1.pdf